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    發表於 2014-3-21 09:52:22 | 只看該作者 回帖獎勵 |倒序瀏覽 |閱讀模式
    ■ 拡張パックとコンテンツの詳細 ログホラ資料館
    ・この資料は、「小説家になろう」で連載中のテキスト、「ログ・ホライズン」および、二次創作用に書かれました。
    ・資料としての本体はログホラWikiとなります 
    ・この作業ページは、Wikiにまとめる資料を作業するスペースです。公式設定として固まったものは、WiKiに順次転載され、こちらからは消去されてゆきます。
    ・誰でも閲覧編集が出来ますので、自由に設定を追加してみてください。水色文字は「お知らせ」で、黒文字は公式設定、赤文字は非公式設定、青文字は二次創作作品で使用された&する予定の設定、と云うことで、ひとつ。
    ・wikiにたいして引越しを行なってくれる方も歓迎です。(黒字のものを整理しつつ転載してくれるのがベストです)

    関連ページリンク(ログホラwiki内部に存在。ブックマークはこちらにお願いします)

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    2010/11/27:システムと世界法則のページに記載されている拡張パックやコンテンツについての詳細をまとめるページとして利用してみることにしました。
    2010/12/3:システムと世界法則のページから、〈エルダーテイル〉のコンテンツや展開に関する記述をコピー&ペーストしました

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    〈エルダー・テイル〉、日本サーバーの歴史
    おおざっぱに言うと、一回の拡張パックで追加されるものは以下の通り。
    数百のゾーン:部屋の一室がゾーンであることもあるため、この数はそこまで膨大ではありません。これは10程度のダンジョン、もしくはフィールドダンジョンを含みます。数百のNPC:追加NPCです。これはランダム配置の〈大地人〉が流用されることもあります。

    約二百のクエスト:新しく設定されたNPCから受けることが出来るクエストです。
    数百のモンスター:新ゾーンに配置される新モンスターです。これらの中には、多くの場合、数十種類の新しいモデリング、モーションを持ったモンスターが含まれます。
    数百のアイテム:クエストやモンスターから得られる新しいアイテムです。
    数個のレイドコンテンツ:多くの場合、3~5個のフルレイドコンテンツと、1~2個のレギオンレイドコンテンツが追加されます。
    追加の特技:レベル上限が拡張される場合は、拡張されたレベルに応じた追加の特技がデザインされます。
    その他、拡張パックは、それぞれのテーマをもち、多くの場合大規模なシステムの拡大をもたらします。騎乗生物や、空中での旅、艦隊戦や、ギルドキャッスルの追加、AIアイテムの追加などが過去に行なわれました。
    日本での〈エルダー・テイル〉価格展開
    〈エルダー・テイル〉オールインワンパック:基本セット及び、拡張パックの全てが同梱の商品。価格は七千八百円
    拡張パック:値段は現在までの所、五千四百円から六千二百円。
    月額料金:千六百円


    ◆年表
    1998年 〈エルダー・テイル〉発売:上限レベル50確認されているレイドコンテンツ『最後の幻想』、『凶王の試練場』、『時の回廊』、『邪神教団』

    2000年 拡張パック〈黎明の偵察者〉発売:確認されているレイドコンテンツ『四季迷宮の少女』『ヘリオットの幽霊屋敷』『コボルト王の憂鬱』、『災渦の中心』、『冥宮組曲』

    2001年 日本語版、サービス開始、アキバ追加

    2002年 拡張パック〈決闘者の栄誉〉発売:騎乗システム追加、戦闘システムの大幅改訂パッチ、ミナミ追加:確認されているレイドコンテンツ『騎士王の試練』、『ゴブリン王の戴冠』、『スザクモンの鬼祭り』、『荒野を駆けろ!』、『邪神教団』『邪神教団、再び』

    2003年 拡張パック〈銀のオデッセイ〉発売:ボイスチャットへ移行、船舶の追加、近海航路(船便)の追加:確認されているレイドコンテンツ『サファギンの魔手』、『航海王子の遺産』、『海賊王の財宝』、『消えた無敵艦隊』『海上の鐘楼を探せ』

    2005年 拡張パック〈Maze War〉発売:上限レベル60へ、ペットシステムの追加改訂、飛行騎乗生物の追加、ススキノ追加:PvPコンテンツ『悪しきものの迷宮』、確認されているレイドコンテンツ『善きものの迷宮』、『紫苑の迷宮市』、『あの空に虹を』、『空飛ぶ骸骨海賊団』、『天空の竜騎士』、特殊レイドコンテンツ『ハンドメイドメイズ』

    2007年 拡張パック〈ムーンクレスタの宝珠〉発売:生産システムの大幅改訂パッチ、ギルドシステム改訂、武器強化システム搭載:確認されているレイドコンテンツ『狂戦士の魂』、『レケシュの古代工場』、『暁の帝国』、『ザナドゥ』、『悪竜の嘶き』

    2008年 拡張パック〈覇王の野望〉発売:上限レベル70へ、ギルドハウス購入システム搭載、ナカス追加:レイド対決コンテンツ

    2010年 拡張パック〈炎の贈り物〉発売:秘伝書システム導入、戦闘外行動の大規模見直しパッチ:確認されているレイドコンテンツ、『火吹き山の魔獣使い』、『永劫氷河軍の襲撃』、『偶像の支配者』、『魔導王の継承者』

    2012年 拡張パック〈永遠のリンドレッド〉発売:上限レベル80へ、シブヤ追加:確認されているレイドコンテンツ『夜鴉は哭く』、『仄暗き御簾の奥より』、『神託の天塔』、『リンドレッド大神殿』『永劫の灯火』『Overlord』搭載:確認されているレイドコンテンツ『ハヤトの鬼武者』、『オワリ夏の陣』、『キソ冬の陣』、『トライネルの合戦場』、『エンドレス・トロル』『征海帝国の亡霊』

    2014年 拡張パック〈サンドリヨンの遺産〉発売:翻訳システムの稼働、AIアイテムの追加:確認されているレイドコンテンツ『南海の巫女』、『パイパーズ・リザレクション』、『死霊が原(ハデスズブレス)』、『奇跡の箱』、『マイハマ地下遺跡』『七つの不思議のそのさきに』『熱砂のカジノ』
    フィールドレイドモンスターの大量配置:確認されているレイドコンテンツ『新皇の帰還祭』『ヘイロースの九大監獄』、『ラダマンテュスの王座』、『トゥオネラの白鳥』、『荊の城の眠り姫』

    2015年 拡張パック〈夢幻の心臓〉発売:上限レベル90へ、NPCのAIの大幅改訂パッチ、楽器演奏、歌唱パッチ、

    2016年 拡張パック〈錬金術師の孤独〉発売:争奪アイテム追加、生産アイテム追加:確認されているレイドコンテンツ『人造天使計画』、『穢れた魂を救うもの』、『歌姫エリザ』、『美姫の紅玉酒』『竜街飛翔』『黒き竜のための鎮魂歌』

    2018年 拡張パック〈ノウアスフィアの開墾〉発売:詳細不明:確認されているレイドコンテンツ、現状無し

    ◆〈エルダー・テイル〉各国での展開
     〈エルダー・テイル〉は米アタルヴァ社によって提供されているオンラインゲームだが、そのゲーム世界は13の管区によって分割されている。ゲーム世界内のハーフガイア・プロジェクト対応地域にある国のオンラインゲーム会社が「運営」という形で参加しているのである。
     例えば、〈エルダー・テイル〉内のヤマト列島(日本)は日本にあるF.O.E(フシミオンラインエンタテインメント)の管理下にあり、慣例的に「日本サーバー」と呼ばれている。実際にはF.O.Eが管理するヤマトだけでも物理的なサーバーは数百台稼働しているとされ、「日本サーバー」という名称は、単一のサーバーコンピューターを指すわけではない。
     米アタルヴァ社は〈エルダー・テイル〉の職業システムを含むゲーム全体をコントロールするバランス調整や新機能の原型をプログラム/管理する他、ゾーンやアイテム、モンスターなどをデザインするための各種専用ツールを、各国の運営会社に提供することによって利益を得ている。
     米アタルヴァ社は運営する各国のゲームデザインパートナーに大きな権限を認めている。これは大きく分けて二種類に分けられる。
     ひとつは、ゲームデザインに関わる権限である。運営会社は管理地域の各種ゾーンを、ガイドラインの範囲内でデザインし、そこにNPCやクエスト、モンスターを配置する権限を持っている。端的に言えば、ヤマト列島の全ての都市、モンスター、NPC、クエスト、多くのアイテムは米アタルヴァ社ではなくF.O.E社の創作物である。もちろん戦闘の基幹システムは米アタルヴァ社が調整しており、モンスターやアイテムの強さには、ある種の調整や指導が米アタルヴァ社から入っていることは周知の事実であるが、デザインそのものはF.O.E社の作業であり権限であり責任と言うことになる。
    (注:戦闘のバランスなどは米アタルヴァ社が監督責任を負うとされるが、アイテムの強さや、召喚生物のアレンジなど、地域運営会社の関わる部分も、けして無視は出来ない。そのために、コンテンツの難易度などについて、ネットで話題になる場合責任追及論が起きることもしばしばである)
     もうひとつが、運営会社の、地域運営権限である。代表的な部分では、その地域における〈エルダー・テイル〉の広報展開などは、地域主導で行なわれている。つまり、日本国内での広告展開、ユーザーサポートなどはF.O.E社が行なっている。この自由には、課金形態や金額の決定権も含まれる。
     多くの地域運営会社はユーザーへの直接課金により収益を得ているが、欧州サーバーのように企業広告により収益の一部を受けて居る例もある。
     日本サーバーは、米アタルヴァ社が直轄管理している北米管区とよく似た課金形態をとっている。すなわち毎月のプレイ料金である月額課金と、拡張パックが発売時に一定の金額を拡張パック代金として得る手法である。
     日本では見られない課金形態だが、中国サーバでの「一日プレイチケット」や、韓国サーバーでの多様な「アイテム課金」なども知られている。とくに「ガチャスロット課金」などは日本のユーザーの間では悪名高い。

    ■ コンテンツ

    ◆1998年 〈エルダー・テイル〉本体 上限レベル50

    ■『最後の幻想』
     エルダーテイル発売当初のコンテンツの中で、運営が最後にプレイすることを想定していたハイエンドコンテンツ。
     〈闇の子〉と呼ばれる四人の悪の元素魔術師の脅威を退けるために、プレイヤーは〈光の子〉として戦う、といったストーリーである。
     4人の〈闇の子〉と戦う際には、一度フルレイドを解散して4パーティで別々に行動することになり、それぞれのパーティが〈闇の子〉の打倒に成功すると、4人の〈闇の子〉がひとつの存在に融合した最終ボス〈混沌の王〉との戦いになる……といった凝った仕掛けもあり、ハイエンドコンテンツに相応しい難易度を誇っていた。
     レベル上限が大幅に引き上げられた現在では、4人(挑戦に必要な最低人数)でも攻略できてしまうコンテンツになっており、かつてはエルダーテイル最強の存在として君臨していた〈混沌の王〉も4人で倒されて語尾に(笑)をつけられてしまう微妙な存在に。

    ■『凶王の試練場』
     エルダーテイル初期に登場したチュートリアル的に用意されたコンテンツであり、開始したてのレベル1から当時の上限であるレベル50まで適度な歯ごたえを与えてくれる名コンテンツとして旧ユーザーの間では語られる。
     全10層からなるメガダンジョンはフルパーティでの攻略をメインとした難易度で構築され、あらゆる基礎的なテクニックを学ぶことが出来る。
     一階から四階の低階層においては適度な難易度であり、初のメガダンジョンとして地下迷宮の重々しさを楽しむことが出来る。
     但し、地下五層以下へとショートカットを駆使するために必要なアイテムを取得するためには四階でモンスターアロケーションセンターをクリアしなければならない。
     この玄室に配置されたモンスターはそれまでのモブとは一線を画し、連携を持ってパーティを苦しめる。
     多くの冒険者が何度も死亡して独自のクリア方法を会得していった登竜門的なイベントである。
     また、地下5階以下はそのイベントを踏まえ連携をしてくる敵配置も増えるためパーティでの協力がより必要になってくる。
     最下層である地下十層では以後のダンジョンでたまに登場するようになる謎の人物。アブドゥルによるタクシーが常駐しており、「お客さん、まだいける、はもう危ないですぜ。帰りましょう」は多くのプレイヤーに感銘深いものだろう。
     尚、最奥の玄室には本来ならば伝説の大魔導士が配置されているはずなのだが、ヴァンパイアロードがぽつんと淋しそうに佇んでおり。「あの方も魔除けも既にここには無い。冒険者よ立ち去るが良い」とメッセージを聞くことになる。
     その背中にはとても哀愁が漂っている。

    ■『時の回廊』
     エルダーテイル世界の過去の歴史の全てが記録されているというアカシックレコード的なダンジョン〈時の回廊〉を舞台としたコンテンツ。
     〈時の回廊〉を巡る旅とは即ち、世界の歴史を巡る旅である。プレイヤーは一連の冒険を通して、エルダーテイル世いうハーフガイアプロジェクトの結晶とも言うべきものに仕上がっている。それらの内容はただの設定の羅列ではな界の歴史を現在から過去へさかのぼり、そしてまた過去から現在へとなぞることとなる。一連のストーリーでは、壮大で奥行きのある幻想世界の歴史が重厚に描写されており、「仮想空間内にひとつの世界そのものを作り出す」とく、後の拡張パックで追加実装されるコンテンツやクエストの素材を先出ししたもので、最初期の段階で世界観的にもゲーム的にもクオリティの高いものをリリースしたことから、エルダーテイルは傑作オンラインRPGとしての評価を大いに高めた。
     「エルダーテイルの世界観と歴史を描写した」「後に20年以上も続くエルダーテイル世界の基礎を築いた」という点で評価が高く、かつてはプレイヤー間でこのコンテンツの攻略やそこで語られるエルダーテイル世界の歴史が共通体験となっていたが、年代が後になるにつれ「あまり実入りの良くない古い時代のコンテンツ」という認識からプレイする者も減り、世代間の差を如実に表す存在となっている。
    (※コンセプト&意図としては、今の時代には“昔そういうものがあったらしい”レベルの扱いになっていたり、古いユーザーが過去を懐かしむ際に挙げるような、最初期の名作ポジション)

    ■『邪神教団』
     邪悪な〈大地人〉やコボルドなどの〈亜人間〉が信仰する邪神の復活を企む邪神教団との戦いを描いたコンテンツ。亜人間の教団の活動を隠れ蓑にして大地人の教団が暗躍しており、後者がラスボスの勢力にあたる。
     関連する無数の小クエストを連続してこなしていくうちに、次第に世界の裏で暗躍する邪神教団の陰謀が明らかになり、最終的には邪神復活の儀式を阻止すべく教団を打ち滅ぼす大きな展開となる。
     前提となるクエストの達成数や達成状況によって展開が無数に分岐する複雑な構造になっており、適切な進行手順を取れば、教団の陰謀を未然に防ぐことでストーリーがプレイヤー有利に展開していくことになるが、逆にクエストを失敗し続けるとNPCに犠牲者が続出し彼らの助力を得られなくなる、教団の規模が拡大し敵の強さや数が増えるといった不利な展開となる。最もひどい失敗をすると邪神復活の儀式を許してしまい、通常なら教祖とその配下との最終決戦となるところが、邪神の器とされた生贄の少女をそこに宿った邪神の分霊ごと殺して邪神の真なる復活を阻止するラストバトルになる。この展開は最も攻略難易度の高い展開でもあるので、あえて最難関ルートに挑むやりこみ派のゲーマーも居た。
     複雑に連動し分岐する小クエスト群の攻略法や攻略手順の解析などで、ユーザーコミュニティが大いに盛り上がった初期の傑作コンテンツ。

    ◆2000年 拡張パック1〈黎明の偵察者〉

    ■『四季迷宮の少女』
    これ以降季節外れの食材や素材が入手可能になった理由付けのクエスト。
    四つの季節のフィールドと五つのダンジョンを巡って古代文明の遺産とそれにまつわるカップルの悲劇を解き明かし、遺産の暴走を食い止める。

    ■『ヘリオットの幽霊屋敷』
    ゴーレム屋敷案
    幽霊屋敷にみせかけた邪術士ヘリオットの実験からくり屋敷。
    CUBE風のトラップや同時押しスイッチ、無数のスイッチやレバーと組み合わさったカギがかかった扉、隠し扉や隠し階段、動く階段など罠がてんこもりのダンジョン。
    このクエストまでに出た全てのダンジョンの罠がここに集結している。
    工夫して、アラームトラップで集めた敵を消える床に落とすなどの工夫が出来る点がプレイヤーに大受けした。
    元ネタ「ヴァルキリープロファイルレナス」のローム丘陵のカラクリ屋敷など
    ・別案
      禁じられた秘術によって破滅したヘリオット一族の屋敷を探索して、その秘密を解き明かすレイドクエスト。
     ヘリオット一族は、かつて古代イースタル王朝にもまさると言われるほどの栄華を極めた家系だった。
    しかし一族は、当主の誕生日パーティ当日の夜に一夜にして屋敷ごと謎の破滅を迎え、今に残るのは廃墟となったヘリオット屋敷だけである。
    その屋敷にはヘリオット一族が貯め込んだ莫大な財宝が隠されていると噂されるが、夜な夜な怪現象が起きるその屋敷に入り、無事に戻ってきたものは誰もいない。
     ふとしたことから、誰も入れなかったヘリオット屋敷正門の鍵を手に入れたPC達は、それを聞きつけたヘリオット一族を研究している好事家と、結婚のためにお金が必要な村の青年を案内人としたその一行と共にヘリオット屋敷に侵入する。
     だが侵入した屋敷の内部は、一族の邪悪な秘術の影響によってヘリオット家が滅びた誕生日パーティ当日の「過去の世界」と「現在の世界」が重なり合う重層迷宮と化していた。
     あっけなく死亡し、あるいは行方不明になるメンバーが続出する好事家一行を尻目に、PCたちは、「過去の世界」で屋敷をさまよう亡霊の願いを叶えて「現在の世界」で通れなかった道を通れるように歴史を改変したり、逆に「現在の世界」から持ち込んだアイテムで「過去の世界」の問題を解決したりして先へ進んでいく。
      その道中でPCたちは、ヘリオット家の人間関係など当時の事情を知ることになる。
      一見中良さそうに見えるヘリオット一族は、三角関係や血族内のいがみあいだらけであり、召使たちも陰で悪事を働いているタチの悪いモノばかりであった。
    そして、ヘリオット家は老いた前当主がまだ実権を握っており、他の一族がそれをうとんでいたことや、家が滅んだ日に行われた彼の誕生日パーティは、同時に彼以外のヘリオット一族が新当主への支持を表明する、襲名披露パーティとなるはずだったことが、探索を続ける中で分かっていく。
    そして、その公然の秘密が当の老当主にバレていたことも・・・・・・。
     ダンジョンであるヘリオット家の内部は、模型惑星が配置されたプラネタリウムや、広大な庭園、屋敷の内部にある湖に浮かんだ豪華遊覧船、パーティー会場、三人いる姉妹のそれぞれのプライベートスペースなど様々だが、一番重要なラスボスである老当主がこもる隠し部屋に入るには、ヘリオット家でかくれんぼをしている20人の子どもたちを残らず見つけなければならない。
    最後の一人が見つかりにくいが、彼が最初の隠し扉をラスボスの居る部屋へ繋げるカギ、ヘリオット家の家紋「黄金の太陽」を持っているのだ。
     そもそも、ヘリオット家に栄華をもたらしたのは、「冥界」との通路を開く禁断の秘術でありこ、れによって死者の知識を得たり、金持ちのパトロンを得て、ヘリオット家は繁栄した。
    しかし、権力を手放すまいとしたヘリオット家の老当主は、自身の誕生日パーティ当日に「不死」を得るために、「冥界」への通路を恒久的に開き、いつでも「現世」へ舞い戻れるようにするという無謀な儀式を行ってしまった。
    当然儀式は失敗。それによって、ヘリオット屋敷は「冥界」と「現世」が混じり合った呪われた場所となり、その住民は永遠に誕生日パーティの日を繰り返すことになってしまったのだ。
     このクエストのラスボス戦は、怨霊化した老当主とヘリオット家を裏から操っていた悪魔の二段構えとなっている。
    老当主はわりとラクに倒せるものの、悪魔は儀式の影響で不死身であり、かくれんぼイベントで(好事家の案内人をしていた)村の青年が、実は破滅を逃れたヘリオット一族庶子の子孫であることに気付いて、その助力を得るフラグを立てていないと絶対に倒すことが出来ない仕様になっている。
     どうにかラスボスを倒し、老当主の力も借りてヘリオット家の秘術を解くとヘリオット家は本来あるべき廃墟に戻り、囚われていたヘリオット家関係者の魂も全て昇天する。
    そして最後のヘリオット一族の末裔である青年は、貧乏でも真っ当に生きることの誇りを手に入れ、結婚の申し込みをするため村に帰っていく。金銭的に無価値な、老当主の形見だけをこの冒険の土産として。
     このクエストは悪党だらけだが人間味があり、どこか憎めない亡霊たちの豊富なセリフに人気がある。
    また、欲望に逆らえず、次々と無残な死を遂げるNPCの好事家一行の無残でどこかコミカルな死に様や、稼ぎに便利なキメラやゴーレムが両方無限湧きする罠部屋もあり、古いながらも長く愛され続けているクエストである。
    元ネタはコーエーテクモゲームスのホラーゲーム「零」シリーズ
    とフロムソフトウェアのホラーゲーム「エコーナイト」
    アーシェラ=ル=グウィンの「ゲド戦記」(特に「さいはての島へ」と「アースシーの風」)

    『コボルト王の憂鬱』
    『災渦の中心』
    『冥宮組曲』

    ◆2001年 日本語版サービス開始
     アキバ実装

    ◆2002年 拡張パック2〈決闘者の栄誉〉
     騎乗システム追加、戦闘システムの大幅改訂、ミナミ追加

    ■『騎士王の試練』
     クラシキ古城を舞台としたレイドコンテンツ。
     「汝『まことの騎士』たれ」と銘打たれた城門を潜ることで開始されるこのクエストは、いわゆる壁職にフォーカスされた内容となっている。エネミーの攻撃力が基本的に高めであり、また直線や扇形の広範囲攻撃を用いるエネミーが多いため、慎重な釣りによる位置取り、ヘイト管理によるターゲットコントロールを行いながら進めていく必要がある。
     登場する多彩な範囲攻撃やデバフ、コンビネーションは当時のレベルキャップに対してかなり凶悪な設定で、単純にタウント特技を使ってエネミーを引き寄せるだけのプレイヤーはその圧力にあっさりと屈することになった。そういう意味では壁職だけでなく、それを支える後衛とのコンビネーションも問われることとなる。「前線を作り上げ、維持すること」に関するプレイヤースキルを叩き上げるコンテンツである。
     実装当初は道中の過酷さに対して、最奥部に登場する「まことの騎士・王たるキビ」の行動パターンが素直すぎるという一点でハードゲーマーからは画竜点睛を欠くと言われていたが、後の改修パッチで名実共にレイドのボスにふさわしい性能へと強化された。
     現在はレベル上限がより高くなったため最高峰難易度とは呼べないクエストだが、中堅のプレイヤーがレイドコンテンツにおける一人前の前衛となる第一の登竜門としていまだに一定の人気がある。

    ■『ゴブリン王の戴冠』
     オウウ地方の深い闇の森「ブラック・フォレスト」の最深部に存在する、ゴブリン族の城「七つ滝城塞」(セブンスフォール)。ここで周辺ゴブリン六部族のうちもっと強力な族長が2年に一度 戴冠し、王となる。
     3ヶ月の征伐期間の間にゴブリン王が生き延びた場合、周辺地域のゴブリン部族をまとめ上げ、数十倍にふくれあがった軍勢となってしまう。〈冒険者〉はゴブリン王の戴冠を阻止しなければならない。

    ■『スザクモンの鬼祭り』 
    ヘイアンの呪禁都に封じられた地獄の門(スザクモン)が三年に一度開かれる。スザクモンが開かれると鬼が地上にあふれ出してしまう。

    『荒野を駆けろ!』

    ■『邪神教団、再び』
     最初期の傑作『邪神教団』の続編。アタルヴァ社のオリジナルコンテンツであった『邪神教団』に対し、この続編は日本サーバを運営するF.O.Eが製作した日本独自のコンテンツだった。
     内容的には、「前回の戦いで教団が完全に壊滅したわけではなかった」という後付け設定のもと、密かに勢力を拡大し再興を果たし再び邪神復活の儀式を行おうとする教団と闘うというところまでが序盤となる。邪神教団が討伐され〈大地人〉誘拐事件に一応の終止符が打たれてからが本当の始まりであり、隠された真相、すなわ マニアックなヘビーユーザーからは「二番煎じ」「褒められるのは細部の調整だけ」といった手厳しい批判や「良い意味でも悪い意味でも期待を外した部分がない」と微妙と評価する声も出たが、全体としては日本のゲームらしい細部まで丁寧に作り込まれたもので、続編の名を冠するに恥じない出来栄えと評される。後に海外にち今まで闘っていた教団とはさらに別の暗黒の勢力が背後にあることを暴いでそれを討つ、というのが後半戦となっている。
    んで強化されている。
    も逆輸入され、F.O.Eの評価を高めた。
    ・別案その1
     連続する小クエスト群の攻略状況によって展開が分岐するギミックも、前作の問題点を修正し改善案を盛り込 「討伐隊陰謀」案
    『邪神教団』の続編にして、形を変えて現れた新たな邪悪との戦いを描いたレイドクエスト。
    滅びたはずの邪神教団の復活の痕跡、そしてそれに対処するために設立された大地人の組織「邪神討伐隊」。
    その魔女狩りにも似た過酷な教団信者摘発活動を追ううちに、その背後にある、邪神教団の残したアイテムの力と人々の心に残る教団への憎しみと恐怖によって大地人を支配しようとする邪悪な陰謀を究明していく。
    ただ単に提示される「教団信者」討伐のクエストをこなしていくだけでは攻略できないクエストであり、一つ一つのクエストを攻略しながらそのスケジュールの合間を縫ったり、ときにクエストを放棄さえして、「教団信者」の無実や「討伐隊」の秘密を暴いていかないとならないスケジュールの立て方とダンドリが重要な構造となっている。
    提示されたクエストにしたがっているだけでは絶対に攻略は出来ないが、クエスト失敗や放棄が続いて「討伐隊」の不信を買えばレイドクエスト自体が失敗してしまう。
    そのため、絶妙なバランスでクエストをこなし続けたり、「討伐隊」隊員にプレゼントを渡さなければならない。
    その様は「討伐隊攻略ゲー」「浮気男シミュレーションゲーム」などと揶揄されることとなり、そしてなぜかその流れで「討伐隊」隊長の、実は乙女チックな趣味を持つハゲオヤジが人気キャラになってその死を悼むスレッドが出来たりした。
    ・別案その2
    「黄金の虚無神案」
     『邪神教団』において邪神として崇拝され、恐れ憎まれていた「黄金の虚無神」がもともとは善神であり、教義が歪められ貶められていたことが判明するクエスト。
    あまりに「黄金の虚無神」が持ち上げられたため、『邪神教団』でいやな思いを味わったプレイヤーからの評判は悪い。
    それに対処するために、三作目となるクエスト「邪神教団、三度現る」が制作されるという噂があるが、今のところそれは実現していない。
    ◆2003年 拡張パック3〈銀のオデッセイ〉
     ボイスチャットへ移行、船舶の追加、近海航路(船便)の追加

    ■『サファギンの魔手』
     前回の拡張パックの『スザクモンの鬼祭り』に続くウェストランデを舞台にしたレイドコンテンツである。
     以前からセトの内海は商船の行き来する海の交易路であると同時に海賊や悪の亜人間の猖獗する海でもあったが、これまではウェストランデ水軍の存在によってある程度の海の治安は保たれていた。だがそこへセトの内海の水温の高まりを前兆に発生した大量のサファギンが襲撃してきた。〈大地人〉の漁業と海運が破滅的打撃を受ける前に〈冒険者〉はサファギンの大部隊を迎え討たねばならない。
     このコンテンツでは(も)今回の拡張パックで追加された船舶と近海航路(船便)をプレイヤーは活用することになる。セトの内海(とそれ以外の一部の地域)の船便での移動、民間船へ乗り込んできたサファギンとの船上戦闘、浜辺および軍船によるサファギンとの大規模戦闘といった要素が盛り込まれ、〈エルダー・テイル〉での海の冒険が楽しめるコンテンツである。

    ■『航海王子の遺産』
     スペイン地方に実際に伝わるドラゴンの伝説、『クエレブレ』の伝承に焦点を当てた定期発動型フルレイドコンテンツ。元々は西欧サーバー(スペイン地方)のコンテンツだったがパック導入に伴い他サーバーにも追加実装された。
     世界各地に生息する蛇の姿を持つドラゴン〈暗蛇竜〉(クエレブレ)は水辺や深い森を好む比較的レベルの低い亜竜種だが、成長に伴い高レベル環境の地下洞窟や湖底へと生息地を変え、途方も無い巨躯を持つようになると海の果てへと渡り去っていく。上位種へ成長したクエレブレが何処へ去るのかは長年の謎だったが、スエヴィ共和国(スペイン、ポルトガル地方)の冒険家エンリケの航海日誌からその行方が分かるようになる。
     竜の多く住む「南の静かなる山脈」に阻まれたスエヴィ共和国は海を渡り海路を切り開くことで発展した。エンリケは最初期に船舶での超長距離航海を成し遂げた大地人であり、その偉業から「航海王子」の名を授かり、彼の残した記録は数多くの海路と未知の大地、島々を人々に知らしめる事となった。
     エンリケが航海を成功させたのは遭難した際に偶然見つけたクエレブレの秘宝の恩恵によるもので、竜の伝承を守り秘匿するために彼自身が捨てた未発見の航海記録を探す一連のクエストを達成することで、クエレブレが流れ着く世界中の無人島が判明する。(日本サーバーでは沖縄地方の与那国島海底地形)
     無人島を探索しクエレブレの住処へと続く洞窟を攻略して、大海蛇や海竜種を食らうまで肥大化したクエレブレを打破すれば巣に残された様々な財宝を手に入れることが出来る。
     ちなみに欲張って財宝をすべて持ち帰ろうとしたり仲間から独占した場合は帰りの船便で大時化と共にやってきた別のクエレブレの襲撃を受け大神殿送りにされるので、次のクエレブレの渡りまで半分くらいダンジョンに残して、分け前は均等に配分するのが通例。航海王子の遺産とは開拓された航路でも竜の財宝でもなく、「海に対して謙虚である事」という教えだったというオチがついている。

    # 拡張パックによる派生クエスト『シャナの婚姻』
     クエレブレに守られた妖精「金髪のシャナ(rudia xana)」がヒロインとなるアナザーストーリー。竜の巣から財宝を得ることは出来ない代わりに妖精から報酬が得られる。夏至を中心とした夏の時期、クエレブレが以前使っていた巣(泉や湖)を調査すると金髪の妖精が取り残され泣いている場面に遭遇することがある。運よくエンカウントできた場合のみこちらのクエストを進めることが出来る。(ちなみにシャナとはクエレブレと同じスペインのアストゥリアス地方の妖精で、種族名であり個人名ではない。某 炎髪灼眼の小説とも関係ないw)
     守り人(竜?)として自分を育ててくれたクエレブレが巣を離れ、自分にも巣立つよう促してくれたがどうしても親が恋しいと泣く妖精と、そんな彼女と幼馴染として密かに会い続けていた大地人の少年の恋路を取り成すとクエスト達成。その為に親代わりであったクエレブレにシャナからの手紙を持って会いに行くことになる。また、クエレブレを鎮めて話を聞いてもらう為に〈夜の魔法〉を学びに行く必要がある。
     クエスト期限はクエレブレの討伐を誰も行っていない、つまり同時期に起きているレイドクエスト『航海王子の遺産』のクリア達成者が0であることが条件であるため時間的に非常にシビア。おまけに達成してしまえば今期の『航海王子の遺産』はクリアが出来なくなるのでどちらか一方のクエストを選ぶ事になる。一応レイドコンテンツ扱いなのでクエレブレに会いに行くダンジョン攻略にはやはりフルレイドが必要。おまけに主題クエスト挑戦者とぶつかった場合、先を争って揉めることもあるので早い者勝ち、PvPでの勝者が挑戦権を得るなどの軋轢が絶えないが、その分報酬はかなり潤沢なレアイベントでもある。
     このクエスト実装以降、レイドの熱いバトルを取るかシャナたんの恋路を応援、という建前でキャラ萌えを取るかでユーザーが真っ二つに分かれたとか何とか。また、クエレブレにも設定や人格が追加されたため討伐するのは良心が痛むと言うプレイヤーも出てきたらしい。

    ■『海賊王の財宝』
    かつて強大な海上帝国に逆らって海を荒らしまわるも、仲間に裏切られて処刑された海賊王の財宝を探すクエスト。
    海賊王の子孫であり、金以外は何も信じず、仲間という言葉が大嫌いな少年の依頼から始まる。
    宝を求めて漁村、群島、山奥の村など海賊王にまつわる場所を探していくうちに、荒れた海によって高い操船技術を磨いた船乗り、良質な木材、隠れ家に最適な入り組んだ湾岸の地図とかつて海賊王の力になっていた要素を集めていくことになり、最後には完全に滅んでいた交易ルートを復活させることになる。 冒険のなかで、裏切られることを知りながらも最後まで自分の人生を後悔せず、仲間を信じ続けた海賊王の心を知った少年は人を信じる心と勇気を身につけ、海賊王を襲名するために旅を続けることになる。
    ちなみに、結局本来の目的である金銀財宝は危機に陥ったPCたちを助けるために、少年が切り捨てて海中へ没してしまうのだが、クエストの途中で手に入る特産品や船や怪物の落とすアイテムが十分価値があるため収支的には問題ない。
    問題ないのだが・・・・・・・・クエストの仕様上、PCたちはひたすら少年から金のために裏切られかけたり、こき使われたりするので「財宝はいらないからコイツをなぐらせろ」という声が大きく、クエストのテキストや一部イベントに後から大幅な変更が入ったことでこのクエストは有名である。
    ・追加案「海賊の時間だ!」
     大幅な変更によって、少年のライバルとして少年のイトコであり、故郷の貧乏な村の村おこしを目標とする海賊少女が登場。
    PCたちは、彼女が率いる女子海賊団と財宝を巡って争うことになる。
    少年の集めるヘイトに対しては、少年が海賊少女にたびたびやりこめられたり、逆に少年が仲間の安全を重視するあまりリスクを背負わないなど海賊少女の弱みを指摘することで解消が図られている。
    なお、それでも海賊少女側のほうが人気が高いが、(すでに大勢仲間がいるうえに、少女がなれあいを嫌い、労働の対価をきっちり払う価値観の持ち主であり)村おこしに必要な額の分け前を与える余裕が無くてPCたちと敵対するしかないため、海賊少女側につくことは出来ない。
    最終的には、少年と海賊少女がお互いの強さと弱さを認め合って共に旅立つのだが、これによって変更前よりさらに少年へのヘイトが高まったものも多いとかどうとか。

    『消えた無敵艦隊』

    ■『海上の鐘楼を探せ』
    海の上をさまよう白い鐘楼を見たという漁師から、その鐘楼を見つけて嘘つきの汚名を晴らす依頼を受けるところから始まるクエスト。
    探した結果見つかった鐘楼の正体は、古代のブイ、それも数十年に一度の大津波を抑制する機能を持った魔法のブイであった。
    ブイに残されたデータと村の言い伝えと照合して大津波が目前に迫っていることを知ったPCたちは、津波を食い止め依頼主の漁村を守るため、PCたちは5つあるというブイの全てを見つけてその機能を復活させるため海上を旅することになる。
    旅の中で数十年の間に生えた滑るコケを取り払うために鐘楼内部を掃除したり、巨大フナムシの大群を退治したり、人魚や海低の魔女に会ったり、海巨人の探し物につきあったりと様々なイベントが起きる。
    最終的にブイを全て再起動しても、老朽化のため機能が低下していたブイの力では大津波を完全に抑制することは出来ないが、依頼主の漁師の誘導によってほぼ全ての村民を避難させて被害を最小限に抑えることに成功する。
    なお、このとき唯一漁師の言うことを信じなかった網元も、自分の屋敷の周りだけにあった防波堤のかけらにしがみついているところを後で発見させるので、実質的に人的被害はゼロである。

    ◆2005年 拡張パック4〈Maze War〉 上限レベル60
     ペットシステムの追加改訂、飛行騎乗生物の追加、ススキノ追加

    ■『悪しきものの迷宮』(PvPコンテンツ)
     『Qの地下道』と呼ばれるイースタル側とウェストランデ側の二箇所の入口があり国境を跨るダンジョンを舞台にした特殊レイドコンテンツ。このダンジョンの内部で『悪しきもの』と名乗る何者かが強力な未知種のモンスターを飼育・培養・改造・訓練etcして少数精鋭の軍隊を作りあげ善の人類種族へと攻勢に出る計画があるらしい…と厳しい訓練に音をあげて脱走してきた亜人間の雑魚兵士を拷問して聞き出して得られた情報がマイハマおよびキョウの都に「イースタルとウェストランデがそれぞれお互いが関知しないまま」届けられ〈冒険者〉の精鋭部隊を雇うことが決定されることから始まる。
     ダンジョン内部へは隙を見て(ゾーンの入口となる門が開いたタイミングを見計らって)侵入することになる。プレイヤーは(イースタル側に雇われた方もウェストランデ側に雇われた方も)前菜として雑魚亜人間やアンデッドなどの簡単なモンスターを排除した後に、ダンジョンの主菜である「精鋭特殊モンスター」と対面することになる。モンスターの姿は簡単に言えば、何者にも似ていない外観である。ステータス画面でも「????」等と表示されるだけで識別することはできない。特技や装備もかなり優れているが戦術が非常に巧みであって苦戦を強いられことになる。
     一方がもう一方を撃退した後で真相が明らかになる。実はこのダンジョンには幻影と知覚混乱の魔法がかけられており、一方から入ってきた〈冒険者〉グループがもう一方にはモンスターのような姿に見えていたのである。「精鋭特殊モンスター」などという情報は全くのペテン、自称『悪しきもの』の計略・謀略であったわけだ。
     最初にプレイした二組のプレイグループは本気でこの仕掛けに脱力しがっかりしたようだが、後にこのコンテンツは「プレイヤー同士で経験値を稼げる/ガチバトルができる貴重なダンジョン」として好評を博するようになる。挑戦するプレイヤーは「うわー。なんだこいつらー」「きをつけろ。たたかいかたがざことはちがうー」「ぼうけんしゃのわざだとー」と台詞を棒読みしながらプレイするのがお約束になったようだ。 

     その比類なき魔力と知性ゆえに、世界の危機に際して英雄扱いされるも平和になった途端に人々から疎まれ人間不信に陥ったある大魔道士が、人間同士の信頼や友情を試すために作った……という背景設定を持つPVP仕様の特殊な巨大ダンジョンを舞台としたPVPレイドコンテンツ。
     イースタル側とウェストランデ側の2ヶ所の入口それぞれから2つのパーティが同時に侵入し、ダンジョン最深部にある秘宝(クリアアイテム)を無事持ち帰ることができれば終了、という設定。この時点で、「2つのパーティで挑むが、クリア可能なのは1つのパーティだけ」という仕様になっており、パーティ同士の争いは避けられない構造。
     加えて、「ダンジョン内で入手したアイテムは脱出するまで  アイテムロック機能を使えず、死亡時に100%落とす」「PK成功数に応じてクエスト達成経験値や報酬にボーナスが加算される」といったこのコンテンツのみの特殊仕様や、このダンジョンで入手できるアイテムに高品質なものが高確率で出ること、複雑な地形に無数のトラップが仕掛けられ地形や罠を利用した駆け引きに最適なダンジョン構造など、様々な要因がPVPを後押しするように整えられた悪意に満ちたダンジョンに仕上がっている。
     そのため、プレイヤー間では「友情破壊ダンジョン」「ギルド崩壊的な意味でエンドコンテンツ」と悪名高い。それだけ夢中になれるほどクオリティの高いコンテンツということでもある。

    ■『善きものの迷宮』
     プレイヤーの知力、体力、時の運を問うフルレイドコンテンツ。ダンジョンを舞台としており攻略には実力も必要だがむしろ頭脳戦やアクション要素やクイズ要素といったMMOらしからぬ内容が重視されているため総じてユーザーからの評価は低い。ただし戦力を重視していない部分があるので中級プレイヤーでも十分クリアが狙え、挑戦者は多い。舞台はアキバと当時まだ実装されていなかったシブヤの地下に跨る古代の下水道網『ザ・ピット』にある扉から入れる迷宮『ダリストン兄弟のアトリエ』(参照:世界設定ヤマト編ダンジョンの項目、未登場キャラクターその3ダリストン三兄弟)。
     この迷宮はかつて魔道の研究の果てに強力な魔法を生み出してしまった三兄弟がその力を危険視し自らの工房ごとグリモワールを封印したが、折角創った魔法を試さずに終わるのも勿体無いという研究者としての欲求に負け、能力的にも人格的にも問題無さそうな実力者になら少しだけ伝承させてもいいかもしれない、と工房をダンジョンへと作り変え自分たちの科した試練を乗り越える後継者を待っているというもの。ダンジョンは3階層に分かれておりそれぞれ攻略要素が異なり、階層の最深部に末弟、長女、長男がレイドボスとして待ち受けている。〈善きもの〉と呼ばれるように挑戦者への危害を目的としていないので、階層の各所には回復と帰還ポイントが設けられている。
     末弟の階層はオーソドックスなエンカウントダンジョンだが立体構造であり蜘蛛の巣の様にルートを変えられる。各ルートのモンスターやトラップは異なるので職業や戦略ごとに適したルートを選べば攻略難易度が下がっていく。中央にたどり着けば末弟と対戦、下の階層へ移れる。
     長女の階層はテレポーターで移動する小部屋タイプ。部屋ごとに中~大型モンスターが配置されているがむしろマッピングの方が重要で、石像やトラップといった部屋の構造や宝箱の中身といったことまで記憶しておく必要がある。長女との対戦はクイズ勝負。自分の階層の構造についてやスキル内容、アイテム効果、ゾーン名、キャラクター名などエルダー・テイルにまつわるクイズを出してくる。ここまでは力技やネットでググったり人海戦術が通用するが、最後の長男の階層がクソゲー呼ばわりされた所以。
     長男の階層は前述のふたつと違い運とアクション要素に左右されるトラップ中心型。プレイヤー達は一度パーティーに分散させられ各々別ルートを行く事になる。ルートは制限時間内に全員突破しないと脱出できないソロ用通路や稼動トラップに阻まれたイライラ棒通路、追跡者付きの倉庫番パズル、下りの螺旋階段とローリングストーン、バリアチェンジに対応した攻撃をしないと倒せないデビルズウォール、高速トロッコ移動からの脱出、一番のハズレと名高い毎回正解ルートが変わるT字路3本抜きといった運とアクション要素満載の難所ばかりで構成されている。ルートの最後にある長男の部屋への鍵を集めれることが出来れば件の魔法を使ってくる長男との対戦となるが、その前にどこか1パーティーでも全滅、脱落すれば全員失格となりアキバの大神殿までテレポートで戻される。長男曰く「この程度で挫ける忍耐力の持ち主に魔道書は渡せん」。忍耐の問題じゃねー、とプレイヤーからブーイングが相次ぎ、後のアップデートでルートのバリエーションが増えた代わりに若干難易度が下げられたが未だに負けるときは負ける。このコンテンツの影響で手前のゾーンである『ザ・ピット』までアトラクション中心になってしまった。
     達成後は秘宝級アイテムや奥伝、秘伝の書が貰え、攻撃魔術職のみアイテム(グリモワール「内なる開放への魔道書」)依存型のオリジナル無属性魔法〈万物自壊の鍵〉(キー・オブ・スポレーション)が習得出来る。好成績だった場合はオリジナル魔法の奥伝の書が、まずもって無理だろうが満点に近い場合は秘伝の書が貰える。
     大災害以降は報酬がおいしく妥当な上に中級者でも参加でき、リアルで体験するとクイズ番組みたいで逆に面白い、と挑戦者が増えた。

    『紫苑の迷宮市』

    ■『あの空に虹を』
     虹の橋を渡り〈エルダー・テイル〉世界を悪天候から守っている〈天上の鳥王(ジズ)〉達を助け邪悪なるモンスターを退けるというフルレイドコンテンツ。過去にプレイヤー達が攻略を終えた虹に纏わるクエストで出会った様々なサブキャラクター達の助けを得て空を渡るストーリー。
     ある日を境にヤマトサーバー全体の天候が急速に曇りから雨へ移行し突発的な嵐が続くようになり、遂には太陽の見える日が無くなってしまう。〈風精霊(シルフ)〉や〈風大霊(ジンニー)〉、霊鳥たちは「天空には神々の創りし鳥がいて、彼らはその巨躯で嵐を受け止め世界を守っているので、もしや彼らに何かあったのではないか」と話し、裏付けるかのようにヤマト各地には巨大な卵が隕石のように落下する事件が多発し、何処から落ちたのか見当もつかない見たことのないその卵が〈天上の鳥王〉の卵ではないかと噂されるようになる。空の上へ渡る方法を模索するプレイヤー達にとある民俗学者は霊魂が天を登る際に渡ると言われる『虹の橋』(ビフレスト)を使えないかと示唆し、虹の橋の伝承を追うと駆け出しの若い竜が自分の作る虹に魔法をかけ橋に変えて使うよう申し出てくれる。肝心の虹の橋を作る魔法は、落ちた卵のなかで運よく助かり保護されていたジズの雛鳥が空へ帰る為に使いたいと言うので、プレイヤー達は雛鳥の護衛を条件に一緒に空へ登れるようになる。雲の上にある天上の世界へプレイヤー達が渡ると、雲海の上で傷だらけになりながら雛達を守るジズとそれを取り囲むモンスターの群れに遭遇し、いくつかの部隊に別れパーティ戦やフルレイド戦でこれらのモンスターを各個撃破し全滅させればクエストクリアとなる。
     かつて長編クエストでプレイヤー達が助けたNPCがキーパーソンになっているのが特徴で、それぞれイベント順に、魔物に変えられ元の姿に戻るため七つの薬草を求めた〈風精霊〉の娘、病を癒すという月夜の白虹を探していた紀行作家、伝説に謳われる虹の竜に憧れ巣立った〈小麗竜(リトルドラゴン)〉の子供、赤子の頃に妖精に攫われかつての故郷『常虹の滝』と生みの親を探していた少年、以上4つのクエストの主役が登場する。彼らとの交渉にそのクエストを攻略した事があるメンバーが必要となる。尤もいずれもクリア報酬の充実したクエストなので意欲的なプレイヤーや頻繁にログインしている上位プレイヤーであれば大抵は条件を満たしている。
     レイドボスは特大の〈捕食雲(クラウドモンスター)〉を筆頭とした混成の群れで、嵐を呼ぶ〈大鵬(ズー)〉、空を闊歩する質量を持たない〈雲巨人(クラウド・ジャイアント)〉、人を攫い空間を渡り歩く〈雪魔(ウェンディゴ)〉などが居てどれもレイドクラスの大型モンスターである。

    ■『空飛ぶ骸骨海賊団』
     開始時点では『翼ある船』の紋章で知られるとある貴族の領地の境界線を巡る争いに〈冒険者〉が絡むことによって裁判の進行を見守りつつ――裁判に出廷する依頼人側の人物を護衛したり、「自分は重要な証人だ」と思い込んでいる野次馬が護衛をしつこく要求してきて邪魔になったり、依頼主の出生にかかわる脅迫事件が起きて――仕掛けられる小競り合いをもてる武力で撃破する、というコンテンツである。
    「酒を飲みすぎてアルコール濃度が高くなりすぎて自然に火がついたことによる死亡事故」だと思われていた事件が実は、「邪術士の念力発火呪文による殺人事件」であることが証明されることで、コンテンツは斜め上の方向に急展開する。
     そして依頼人の父である故人の貴族が「望遠鏡の向こう側に見えた土地の苦難を知って私は深く心を痛め、彼らにできるかぎりの支援を与えた。その時にその土地に私の想い出の手紙を置いていった」という書付を発見することでこの大規模戦闘の本当の戦場が(やっと)見えてくる。
     雲の上にある魔法の土地『シルヴァーライニング』とそれを狙う邪術士たち、彼らに協力し古代魔法文明の遺産である飛空船を悪用しようという『骸骨海賊団』、飛空船を指揮して〈冒険者〉の味方になるネモ船長などが登場して空中戦闘が展開されることになる。空中での戦闘は一度落下するとまず死亡→プレイヤータウンへの強制帰還となるため蘇生呪文などによりリカバリが困難であり、より精緻な戦場制御の求められるレイドコンテンツであった。(一度離脱したプレイヤーの再度乗船は可能であるが、飛空船の航空能力の制約から、戦術的・戦略的不利の可能性と戦力数補給の必要性の兼ね合いの難しい判断を求められる)
     骸骨海賊団を撃破したあと手紙を発見し証拠として提出することでこのコンテンツ中は終了である。終わり方がまったくしょうもない、もしくは人によっては謎の感動だなどともいわれるが、このコンテンツの主な報酬はシルヴァーライニングをめぐる戦いの中で入手できるものであるので裁判の結果として依頼人には何も得ることがなくて報酬も支払えない(契約は日当+成功報酬という形で序盤戦の報酬は一応既にもらっている)とかそういう話は多くのプレイヤーにはどうでも良かったりする。「すまなそうな顔をする依頼人の顔が萌えることが報酬」とかそういうプレイヤーも多かったようだ。

    ■『天空の竜騎士』
     超カッコイイ英雄キャラクター、“竜騎士”カイン・アウグストス・ラインハルト(参照:未登場キャラクターその1)をメインにしたストーリーが展開されるコンテンツ。拡張パックで追加された飛行騎乗生物の中でも人気の高い〈飛竜〉と、それに騎乗して戦う〈竜騎士〉を題材にした、ファンタジーの王道的内容。
     その超カッコイイ英雄様が、ゲーム的な仕様の問題で攻略難易度をムダに引き上げる要因と化したせいで、実装当初はクソゲー呼ばわりされた。あまりのクソゲーぶりからネタにされて弄られまくるうちに、一周回って面白いと認知されるに至り、(ある意味)人気コンテンツと化した経緯を持つ。エルダーテイルでも(ある意味)最も有名なコンテンツのひとつ。

    案その1
     ゲームシステムとしては異色の全サーバー連動式レギオンレイドコンテンツ。欧州で最も有名な竜の物語である、アーサー王伝説の2頭の封印竜の伝承を基にした、リレー方式で世界各地のサーバーへイベントが繋がっていく定期発動型クエスト。プレイヤーは古来種や騎士団と連携してドラゴンの群れから国を防衛するというストーリーである。
     北欧、西欧サーバーのドラゴンの代表種に〈赤王竜(レッドドラゴン)〉と〈白王竜(ホワイトドラゴン)〉がいるが、モデルとなった竜自体がライバル同士であった事やゲームの仕様上や子会社同士の看板モンスターという点などから、エルダーテイルにおいても種族ぐるみでライバルのような関係であった。神代にこの竜種を束ねる長であった二頭の竜“Brave bright red dragon(勇猛なる緋色の炎竜)”と“Noble silvery white dragon(高潔なる白銀の鎧竜)”は長きに渡り死闘を繰り広げ、その戦いの激しさから神々によって酔夢の術法で縛られ奈落の底に封印されたが、世界に混乱が訪れるとき目を覚まし一族を率いて再び争い合うという伝説を持つ。この伝承が事実となり目覚めた双竜が北欧中の赤王竜と西欧中の白王竜を集め、大規模な群れを成して世界中を移動しながら衝突するという〈エルダー・テイル〉屈指の大イベント。
     レイドメンバーは飛竜に騎乗し〈竜騎士団員〉という大幅な攻撃補正を受けられる。主な方針として、はぐれた竜の討伐や誘導、縄張りを荒らされて怒る在来種のドラゴンの鎮圧などを中心とした遊撃部隊、山脈や渓谷、崖などの砦に防衛ラインを張り進行を防ぐ防衛部隊、そして花形である竜の群れの誘導と交戦を中心にした飛竜機甲部隊に分かれ、主だった戦場を自国サーバーから逸らし別のサーバーへ移動させることでクリアとなる。移動先のサーバーは竜の群れが進行してきた時点でイベント開始となり次のサーバーへ移動させるまでかかりきりになる。リアルタイムで竜の動向は変化するのでプレイヤー同士の情報交換や大地人や騎士団からの情報、公式サイトからのアナウンスを元に対策を立てる必要がある。世界を回りきると体力を失った双竜の封印が強まり竜達は欧州に戻り双竜は再び眠りにつき、コンテンツは終了。倒したはぐれ竜のドロップアイテムや竜との召喚獣契約、騎士団や各国からの恩賞などが報酬となる。各サーバー同士が竜の誘導と攻略時期をめぐって罵り合うのは、もはや恒例行事。
     ここで重要なのがクエストクリアの条件は竜族の殲滅や双竜の撃破でないという点である。そもそも最新パッチの段階でさえ如何にレイドコンテンツといえど上位種のドラゴンにプレイヤーが勝つのは難しいのに、その竜が徒党を組むとなればいくら攻撃補正を受けていようと過去のエルダーテイルの仕様では彼らに勝つのは不可能である。よってあくまでプレイヤー達は戦場を他所へ移しさえすれば良いだけである。さらに双竜は人語を理解するので交渉で戦場を移してもらうという作戦を取ることも出来る。勿論レイドボスなので双竜に戦いを挑むことも可能であるが、休戦中に挑めば「我等の長に何をする!」と一族総出で反撃され、交戦中に挑めば双竜が同時に襲い掛かり「一騎打ちの邪魔をするな!」と言わんばかりの抜群のコンビネーションでプレイヤー達を殲滅する。
     蛇足ではあるが双竜もきちんと性格が設定されており(参照:未登場キャラクターその3神竜の項目)キャラクター的にも親しみやすく人気が高い。というか懲りもせず何度も喧嘩を繰り返す事や、共闘した時のあまりのコンビネーションの良さから「実はお前ら仲良いだろ!」と世界中のプレイヤーに総ツッコミされており、特に日本では「お前らはト○とジ○リーか」「もうお前ら結婚しろ」「これハネムーンじゃね?」「末永く爆発しろ」と野次られ、中には「鎧×炎、……イケるわ!」「鎧の誘い受けでしょ?」などの偏った意見もあり一部のお姉様方からも人気を博している。ちなみに双竜の性別は明 か さ れ て い な い (おそらく設定されていない)。

    ■『ハンドメイドメイズ』(特殊レイドコンテンツ)
     拡張パックMaze Warの隠れた(いや、あまり隠れていないが)テーマは何といっても「迷宮での戦い」ということだったのだが、その中でもこのコンテンツは特殊なものである。通常のダンジョンコンテンツがエネミーの作り上げたり古代の遺跡だったりする迷路の内部へ潜入するものであるのに対し、このコンテンツでは「敵を迎撃するために坑道を掘りダンジョンを作成してそこで戦う」というものである。
     鉱山を採掘していて深く掘りすぎてしまい、地下深くに眠っていた巨大で強力な「何か」を目覚めさせてしまった、というところから始まる。不幸な鉱夫達を惨殺したあと「何か」はいったんは深奥部へと去っていったように見えたが、再び出現してさらに大量の鉱夫を殺害してきた。ここに至って実はそれには退去するつもりなどないのだろうと判断した鉱山の代官は領主に報告し、領主からプレイヤーへの依頼となる。この正体不明の悪を退治して鉱山を再開できるようにするか、もしそれが不可能なら地上まで出現することのないように封じて欲しいと。どうやらゴブリンといった悪の亜人も従属させていることがわかり、プレイヤーは地下で集団戦闘を行いつつ、鉱夫を使役して坑道を応戦用に迷宮化しつつ、敵の正体を鉱山内の手掛かりや古代の文献で探しつつ、依頼の達成を目指すことになる。
     各種の高レベル鉱石や亜人のドロップアイテムなどが主な報酬となるが、うまくダンジョンを作らないと採掘費用で赤字になるなどちょっと変わった趣向が凝らしてある。もちろんあまりケチりすぎると酷く苦戦して防戦に失敗し最終的にはイズモ騎士団に尻拭いしてもらうことになる。さらにこのコンテンツでは変わった報酬として〈鍛治屋〉のためのレシピが報酬となることもあった。ダンジョンを自作できるという趣向と特殊な報酬のために興味をそそるコンテンツではあったが、サーバーの負荷の関係で同時挑戦数に限りがあったため「一度はやってみたいレイドコンテンツ」として特に有名なコンテンツであった。

    ◆2007年 拡張パック5〈ムーンクレスタの宝珠〉
     生産システム大幅改訂、ギルドシステム改訂、武器強化システム搭載

    ■『狂戦士の魂』
     このコンテンツは「難病の甥を治療するための薬草を手に入れて欲しい」というありがちなクエストの依頼から始まる。その薬草の比較的安全な栽培地はいくつかわかっているが、どこも既に盗掘されつくしていた。最早八方手塞がりというところで彼の兄(つまりは甥の実父)が一族の古い記録をたまたま眺めていたところ、彼らの祖先が赴いた土地にその薬草が自生している土地があるという記述があったのだという。ただ結構田舎というか奥地なので盗賊や山賊やモンスターの危険があって普通の薬草採りのように〈大地人〉の働き手を送るわけにもいかない。
    「そこで、君達〈冒険者〉にお願いしたいというわけだ」
    〈妖精の輪〉を経由して向かった現地の村で自生地から薬草を採取しに行こうとしたプレイヤーは、目を丸くした住民達(なぜかハーフアルヴが普通より多い)からやめるように忠告を受ける。そこは「皆殺しのフレッド」の荘園であり領地であり、人間が侵入すれば生きて還れないと。そんな恐ろしいモンスターがいるというのに住民の表情はなぜか明るい。フレッドを恐れて外部から賊や亜人間は侵入してこないから、「フレッドの荘園」に踏み込まずに村の周辺で探してみたらなどとまで言われる。「ご当地モンスター」として愛される「皆殺しのフレッド」像に納得がいくかどうかは別として、薬草は「フレッドの荘園」と呼ばれる柵で囲まれたフィールドにしか無いことがすぐ明らかになるので、プレイヤーは行くしかない。
    「荘園」の内部で出現するのは古代文明の様式とされる防具を纏ったアンデッド兵士が主体となる。通常の動物や他のモンスターもいるが、もっとも恐るべき強敵は、全身を装甲に覆われた鋼の人形のごとき姿を持つレイド級モンスター「皆殺しのフレッド」である。プレイヤーは薬草探ししながらフレッドと何度か遭遇し、戦ったり逃げ回ったりすることを余儀なくされる。
    そして内部を探索しているうちにフレッドの正体が明らかになる。彼は、またの名を〈狂戦士〉(バーサーカー)とも言う自律知性――ほとんど「魂」と呼べる――を持つ、古代文明の残した戦争機械なのである。
    バーサーカーと言う割には喋れるし少しは話が通じる(交渉場面では種族がハーフアルヴであると話し合いに成功確率がつき、人間/エルフ/ドワーフだと失敗確率がつくらしい)。ただし「暴力よりも話し合いで解決しよう。長い目で見よう」とも受けとれる彼の姿勢は「長い目でみれば自分と交わした会話の後で死地に飛び込んだり結果として死んでくれれば暴力に訴える必要は無い」と思っているのではないかという素振りがある。フレディは単純な殲滅より〈冒険者〉の目的を見極めてから総力戦に出ることを考えているらしく、薬草を採りに来たこと採取できた後は素直に帰ることを告げれば「その場は」戦闘を回避できる可能性は高い。また全面戦闘となった場合フレッドが手下つきで全力で戦うのもプレイヤーが薬草を採取して帰る段階のこととなる。
     戦闘または交渉でフレッドを退けて荘園から出ようとした乃至出た時、依頼の真相が明らかになる。病死で跡継ぎのいなくなった本家から財産を継ぐ、その目論見のために依頼人の叔父自身で栽培地で盗掘して薬草を根絶やしていたということが。「皆殺しのフレッド」なら、薬草採りにやってきた〈冒険者〉でも確実に殲滅できるであろうし、皆殺しのフレッドを倒した後で傷ついた〈冒険者〉なら倒せる可能性はあると。プレイヤーはフレッドを倒した後の疲弊した状態で邪悪で欲深な叔父の手勢と戦うか、あるいは(交渉でいったんはフレッドを退けた場合)叔父の手勢を倒した後で待ってましたとばかりに現れる「皆殺しのフレッド」と戦う羽目になる。
     第三の道としてここでうまく会話で誘導し叔父を調子に乗らせて「父祖から伝わる古代の宝飾品」を懐から取り出させて自慢させるというルートがある。「この地で我が一族は皇王朝に逆らう者共を討伐した。この品がその証だ!武勇をもって鳴らした我が一族をあの病弱な小僧っ子に継がせて良いものか?!」その言葉とともに逆上したフレディが躍り出て、叔父とその手勢を殲滅するというイベントが起きるのである。HPが0になっても死骸をぶちのめし続けるその姿は、バーサーカーと呼ぶにふさわしい。「まるで親の仇にでもあったみたいだ」と一部掲示板で評判にもなった。
     後にこのコンテンツのフレッドは『人造天使計画』の人造天使とよく比較されることになった。何でフレッドの方が人間らしい魂を持っているかのような挙動ができるんだと。魔法技術水準の考証的におかしくないかと。…別におかしくはない。人造天使の方は、当時全然アルヴの魔法の解析が進んでおらず原理や技術を本当にわかっていた人がいくら才能があったとはいえ一人――〈六傾姫〉の一人でヤマトの姫――しかいなかった。それに対してフレッドは複数の分野のアルヴ秘術の専門家集団による作品であって人工魔法知性の出来映えが良いのは当然なのだが、アルヴ文明の繁栄と崩壊や〈六傾姫〉についての裏事情を説明するわけにもいかず(アタルヴァ社はどこまで裏設定を表に出していいか・また設定は公式で説明するよりコンテンツ自身で語らせろという立場をとっており、契約レベルで地域運営会社がメディアに語る内容と時期etcへの縛りを入れていた)、「これからの拡張パックで出てくるコンテンツをプレイすればわかることなんやけど、別に矛盾はないねん」という以外言えることがF.O.Eには無かったようだ。

    ■『レケシュの古代工場』リンの居住区域には錬金毒の作成場所も貯蔵場所も無いことがわかり、依頼達成のために毒の流出元を探索することになる。
     エッゾ帝国の本州側領土にあるレケシュの村(現実世界の青森県六ヶ所村に相当する)から「村の周囲にゴブリンが住みつき、錬金毒を流したりして村を脅かしたりしているのを何とかして貰いたがっている」というのをプレイヤーが聞きつけるところからコンテンツはスタートする。序盤のゴブリン退治は比較的簡単に終わり、そこそこのドロップアイテムを手に入れることができる。
     プレイヤーがゴブリンを尋問すると、実はゴブリンは毒を流していたのではなく「彼らの棲む階層よりさらに下の階層から毒が湧き出てきた」という情報が手に入る。あるいは一匹も尋問せずに殺してしまった場合には、ゴブ
     こうして錬金毒の大元を探しにいった〈冒険者〉たちによってこの施設の本当の姿が徐々に明らかになってくる。先行する文明の造りあげた廃工場の上に、後発文明がその跡地を利用し解析しつつ自分たちの工場を建築することで積み上げられた、最終的に七つの層をなす古代の工場施設の廃墟となっていたのである。ゴブリンの住処であった部分は240~300年前の比較的新しい時代であるが、地下に降りれば降りるほど古い時代の廃工場となっている。内部では古代の防衛および侵入者排除機構とくにアルヴのそれが一部分まだ生きていて、フルレイドの戦力でそれらを排除しながらもっと深く奥へとプレイヤーは探検を続けることになる。錬金毒の在処自体はゴブリンの寝座のちょっと下の階層の錬金工場跡地にあってここで依頼自体は終了させることができるのだが、同じ工場の魔術師詰所に遺された「この工場の地下はまさに宝の山の上に積みあげられている。下へ降りれば降りるほど宝は価値を増す。そして最深奥には真に驚くべき世界の至宝が眠っているというのだが、炎の竜が棲んでいて手を出せない」という書付がプレイヤーたちを奥へ奥へと誘うことだろう。
     一番下の階層まで降りていくと、〈冒険者〉は他ではあまりお目にかかれない奇妙な光景を目撃できることになる。そこではまるでベルトコンベアの上を赤熱した鉄が運ばれているかのように溶岩が水路の上を流れ、とうの昔に機能を止めたハイテク機器の残骸や、その残骸の上をなぞるようにして描かれた魔方陣といったオブジェクトが周囲を飾る。そして時折そこかしこから噴出する蒸気が、まだこの「工場」が活きて動いているかのように錯覚させる。それはまるで科学と魔術の融合した珍種の工場か何かのようである。この階層のまばらな手がかりが『旧世界』の新エネルギー技術開発拠点の跡地であり、地熱発電の研究が行われていたことを示唆している。(ルーンや魔方陣は年月に耐えかねて壊れた部分が溶岩が流れ出すのをくいとめるため恐れをなしたアルヴが設置したという裏設定はあったが、そのへんの記述は省略されている)
     そしてこの階層の探索を続けるとここで最後のイベントが起きる。このコンテンツのレイドボス〈ナイト・オヴ・セヴン〉との御対面である。〈ナイト・オヴ・セヴン〉は戦う人造機械のようであり、不法侵入者――この場合は、〈冒険者〉の24人規模中隊――を排除するために、攻撃を仕掛けてくる。
     〈ナイト・オヴ・セヴン〉は完全には倒すことができない。深刻なダメージを与えると、「厳密に言えば魔法ではないんだが、秘宝級の性能を持つ」高性能のドロップアイテムをランダムに落として撤退する。〈冒険者〉が完全破壊してしまう前に「生物滅菌洗浄シャワー」ゾーンを通ってさらに奥の区画、おそらくは自分を修理するための区画に撤退してしまう。「生物滅菌洗浄シャワー」の効果として酸と酵素で有機生物は全て死ぬ、という設定か何かがあるようで、〈冒険者〉が追撃していくのは不可能である。
     後に幻想級アイテムが追加された拡張パックのタイミングで偶々〈ナイト・オヴ・セヴン〉が強化されると、「このゾーンを通過して完全に倒すことができれば、幻想級アイテムが手に入る」という噂が流れ、無駄に大神殿に直行する〈冒険者〉が続出する椿事も発生した。そんなに欲張らなくても、"火や酸などの環境からのダメージを一切受けつけず、低レベル帯の刃物をほぼ全く通さず悠久の時の流れにも耐えられる程の耐久性を持つ素敵作業服『レケシュの作業服』"といった、結構それなりに良いアイテムをドロップするのだから、そこまで幻想級アイテムにこだわることも無い筈なのだが(と、いうのが後々運営側のデザイナーの語った言葉)
     下の方の階層の工場施設では、アルヴの工場が一部『旧世界』のそれを流用してたり、コンクリート壁が壊れているところをアルヴが入手できる材料で補修していたりするなど、奥の方にいくにつれて魔術と技術の境界は見えづらくなっている。公式サイトの説明では暗黒期にあたる時期のアルヴ文明の繁栄と、『旧世界』の繁栄が混同されるようになったのは、このレイドコンテンツや他の『旧世界』絡みのコンテンツでのこうした描写が原因の一つである。
     探索を重ね村に毒の危険が無くなった云々を報告してこのコンテンツを終了させた時、最下層まで足を踏み入れたプレイヤーにはちょっとしたおまけ話が聞けるというボーナスがある。かつてこの地には全界の人類種族の国々と種族のために、平和を維持するために集った兵士達が眠っており「全ての人類種族が共通の危機に立ち向かうため結集する」旗(フラグ)が立つまで眠り続けており、時が来たら彼らは起きあがって全界の平和のために戦うであろうというのである。この眠れる騎士の伝説、ゲーム時代には「物語を盛り上げるための背景情報」だと思われあまり気にもとめられていなかった。だが、同じく「物語を盛り上げるための背景情報」だと思われていた「ミラルレイクの賢者」がヤマトのイースタルにいたように、ひょっとしたらこれも、〈大災害〉後の世界では真実の伝説になっているのかもしれない。

    ■『暁の帝国』
     ※登場時および拡張パック〈覇王の野望〉までとそれ以降で一部の設定が異なるコンテンツである。
     ウェストランデ西部地域とナインテイルを脅かし不遜にも貢納を要求する〈醜豚鬼の夜明け〉(ドーン)帝国とその僭主〈魔将〉ガルルムグに決戦を挑み、これを撃滅するというものであるが、最初の頃はオークドーン帝国は帝都をナカスに置いていた。
     とあるプレイグループがナカス郊外に設置されたオーク軍〈太陽剄〉と呼ばれる古代のエネルギー兵器の歴史に埋もれた真相――科学技術文明復興への失敗に終わった試みである〈新しい暁〉(ニュードーン)計画による、太陽光エネルギー収集/分配装置――を探り出し、夜明けとともに発動する(させられる)〈太陽剄〉を暴走させてオーク軍を壊滅させ、ナカスを征服してプレイヤータウンにしたことで〈覇王の野望〉以降は「ナインテイルまたはウェストランデ西部地域のどこかを根城にして〈醜豚鬼の夜明け〉を叫んで通常兵力を蓄えてナカスと人類種族に挑戦するガルルムグとその帝国」を撃滅するというコンテンツになっている。
     報酬アイテムを最初に入手したプレイヤーが通常そのコンテンツの『勝利者』とみなされるものであるが、このレギオンレイドコンテンツについてはそうではない。それにはアレックス=M=寺島と彼のプレイグループが少人数攻略を成功させたことが影響している。初回登場時より〈冒険者〉のレベル上限も上がっていたのだが、レギオンレイドコンテンツを九人で攻略した(実は本当はさらに無茶苦茶な記録であるが)等という記録はまさに破天荒であり、「暁の九英雄」こそがこのコンテンツの勝利者だとされることが多い。
     このコンテンツに関連して、ミナミがナカスを強行とも言えるやり方で制圧したことについて、混乱状態のままのナカスにガルルムグが攻撃を加え奪われた場合に与えたであろうヤマトと〈冒険者〉コミュニティへの甚大な損害を未然に防ぐための正当な措置であった等とイコマの現在の主の筋からその正当性が主張されることもある。

    (参照:PC/日本/ナカス/01の“暁の九英雄”アレックス・M・寺島とNPC/日本/ナカス/01のガルルムグの項目)

    外なところに財宝を隠した小部屋などがあって全エリアのコンプリートは容易には進まない。■『ザナドゥ』
     ヌマズィール湖はスワ湖畔長の(名目上の)領地であり、現実世界では野尻湖に相当するなかなか過ごしやすい気候の土地である。この湖の湖畔の寂れた小村、ナイマンスム村の村人が自慢気に歴史ありげな品を見せびらかしているところにスワの湖畔市で遭遇するところがこのレイドコンテンツの導入部となる。
     話を聞くと何でも大雨の後で土砂崩れがあり、泥の中から出てきた品だという。古代遺跡を期待してプレイヤーはナイマンスム村に移動すると、古代魔法文明の残した廃都を発見することになる。
     遺跡は高度な魔術と工芸と美術で飾られていたことが長い年月による風化を経ていても見てとれる。徐々に明らかになってくるこの遺跡の真実とは、ここはかつて栄えた古代魔法文明種族の避暑地であり、その種族の中で東ユーレッドの熱帯亜熱帯地方に住む者達が開発した歓楽の都であったということである。そしてまたこの『ザナドゥ』を建設した種族は非常に栄えたが、その暮らしぶりを羨んだ後発文明種族(つまり、人間やエルフ、ドワーフといった種族)の嫉妬によって滅びたということもわかってくる。
     ザナドゥの内部は現代のものより強力な古代の魔法機械によって守られており、プレイヤーはこれを排除しながら探検を進めていくことになる。このコンテンツにはパズル要素もあり、意
     特筆すべき点として〈放蕩者の茶会〉が2015年に挑戦した際に、シロエがフリーのCADソフトを使ってザナドゥの三次元マップの再作成/検討を試みたことによってさらなる隠し部屋がいくつも発見されたことがあるだろう。(この発見は「まだ未開拓の部分が残っていたとは」と多くの〈冒険者〉を驚かせた)この経験が地球人「城鐘恵」 を工学部へと進学させる契機になったということも、ひょっとしたらあるかもしれない。

    ■『悪竜の嘶き』
     ファンタジーゲームの王道、ドラゴン退治をテーマにしたレイドコンテンツである。ウェストランデとの国境に近いフラマイツ湖に棲まう悪しきドラゴンが、ヨコハマの姫君を要求してきたのである。要求が受け入れられなければ付近暴れ関所を破壊したり東西を行き来する行商や旅人を殺したりするという。プレイヤーはヨコハマの領主から依頼を受け、悪竜退治に乗り出すことになる。
     ラスボスとなるドラゴンは八体の分身を作り出して本拠地から少し離れたフィールドに配置している。このドラゴンの分身達をどう攻めるか、あるいは戦闘を避けて他の分身や本体を叩くのかの選択がある。ジークフリートの伝説を参考にしたものかドラゴンを倒してその血を受けた武器が強化されるイベントが発生したり鱗によって防具を強化できるとか、ドラゴンの非常に硬い尾が実は剣の刀身を中に含んでいるだとか対ボス戦を有利にすすめられることもあるので是非倒しておきたくなる。分身たちもそれぞれ〈大地人〉の村や集落を苦しめていると知ればなおさらのことである。
     生産システムの改訂による、成長困難化の引き替えのクリエイトアイテムの上限底上げや、武器強化システムによってワイヴァーンなどの亜種竜ではないいわゆる真の竜(トゥルードラゴン)が古来種といった他者の助けやまぐれや幸運によらずに倒せるようになったのがこの拡張パック(のこのコンテンツ)からとされている。

    ◆2008年 拡張パック6〈覇王の野望〉 上限レベル70
     ギルドハウス購入システム搭載、ナカス追加、レイド対決コンテンツ『Overlord』搭載

    ■『ハヤトの鬼武者』
     ナカスの追加にともないそれを補完するレイドコンテンツである。タイトルの「ハヤト」とは「薩摩隼人」から来ている。かつてはウェストランデに反抗する異民族であったが、ナインテイル征夷大将軍によって征服・感化されて以降その勇猛さによって皇王朝に忠実に仕えるようになったとかいう氏族の設定が出てくるなど、現実世界の設定を匂わす背景設定がある。
    オーク
     このコンテンツは布袋を大雑把なモデルにしたヤマトの神『ミルク=ブダーイ』の名による理想郷建設を叫んで決起した農民一揆とそれに味方する『武の民』ハヤト一族、そしてその背後で糸を引く邪術士と対決するコンテンツである。ハヤト一族と最小限度の戦闘を行いながら邪術士の正体を暴露して降伏を促すというのが2008年当時想定されていたプレイの仕方であるが、その後の上限レベル上昇にともない力ずくでハヤト一族を殲滅することも可能になってしまった。ドロップアイテムを得るためには真ボスを倒す必要があるので、今でもこのコンテンツをプレイするプレイヤーはハヤト殲滅というルートはとらないのだが…。このコンテンツにより、拡張パック〈覇王の野望〉までが〈大地人〉勢力が〈冒険者〉にとって歯ごたえのある障害となりえた時代であった、とも言われている。

    ■『オワリ夏の陣』
     オワリの地名は「終わり」すなわちウェストランデ勢力圏、すなわちキョウの都の東への影響力の終端というところから来ているそうである。ウェストランデ皇王朝ヤマトの時代から、オワリに派遣される代官はウェストランデの守護者にふさわしい軍歴の持ち主が選抜されるのが伝統であった。そしてヤマトが分裂しイースタルとの国境ができあがってしまった今では、オワリの代官にとってこの地の軍事的側面はますます無視できないものとなった。
     またこの地は同時に古くから職人や魔法技術に優れた魔術師を出してきた土地であり、その職人芸の伝統は『旧世界』でヤマトの繁栄を支えた〈ミッドランド・オブ・キョウ〉と巨大ギルドの伝説にまで遡ることができるという。
     そう、オワリはウェストランデにとって――他の全ての領土もそうであるがここは特に――失なったり奪われたりしてはならない土地なのである。
    そして起きてはならない事件が起きた。この地に置かれていたヤマトを守護する古代の魔法の品が、何者かによって秘かに奪われてしまったのだ。そしてオワリの東側から素性の確認できない兵が潜伏している模様との報告。
     このコンテンツは下記の『キソ冬の陣』とともにイースタルとウェストランデ間の政治的駆け引きと国境紛争を扱った『Overlord』対応のレイドコンテンツである。プレイヤーは、オワリ代官からの依頼を受けて、ヤマト守護の至宝を取り戻しオワリをウェストランデから奪おうとする陰謀を打ち砕かなければならない。陰謀の背後にあるのは何なのか?悪のモンスター勢力?イースタルの騎士団?あるいは…イースタルはアキバの〈冒険者〉を秘密裏に雇い入れたのだろうか?
     このコンテンツでは大規模戦闘以外にも、古代の魔法の品を巡る陰謀の目的と黒幕の正体を見抜く謎解き要素も含まれており、プレイヤーは戦闘を勝ち抜きながらも手掛かりを押さえていく必要がある。

    ■『キソ冬の陣』
     キソ地方はイースタルの中でスワ湖畔長(の、派遣した代官)によって支配されている地域である。しかしながら、この地方は古くからウェストランデ特にオワリとのヒト・モノの流れと行き来が盛んな地方であり、住民はイースタルよりウェストランデへの帰属を望む意識が強かった。そのためスワ湖畔長にとって、この地方は政治的に慎重で微妙な扱いの要求される難しい地域であった。もっともこれまでは、それが具体的な問題に発展することは無かったのだが。
     このコンテンツは上記の『オワリ夏の陣』とともにイースタルとウェストランデ間の政治的駆け引きと国境紛争を扱った『Overlord』対応のレイドコンテンツである。プレイヤーは、キソでの住民一揆を鎮圧するために派遣した騎士団の壊滅したスワ湖畔長からの依頼を受けて、キソにおけるスワの、ひいてはイースタルの正統な支配権を確かなものとしなければならない。キソの郷士たちにスワ湖畔長の騎士団を壊滅させる程の力がある筈が無い。背後にあるのは何なのか?悪のモンスター勢力?ウェストランデの騎士団?あるいは…キョウの都はミナミの〈冒険者〉を秘密裏に雇い入れたのだろうか?
     キソの安定化のためには戦闘だけではなく、政治的なバランスにも留意する必要がある。流動的な情勢の中で地方のキーパーソンの思惑を想定しながら、プレイヤーは彼らを説得する必要がある。

    ■『トライネルの合戦場』
     ウェストランデ中央からすこし西のトライネル地方を舞台に、複数の悪の勢力とイズモ騎士団、ウェストランデ皇剣軍が世界を支配でき得る城「トライネル城」の占領とその阻止を巡ってぶつかり合うというフルレイドコンテンツ。プレイヤーは皇剣軍か騎士団のどちらかに協力して参加することになる。
     相手側は廃都オオスを占拠した巨人族、それに対抗するかつて城塞都市オオスと鎬を削っていたダークエルフ族、フジ樹海を根城にする植物、昆虫系モンスター連合軍とそれに反目する〈人馬族〉(ケンタウロス)が主要な軍勢。この内、展開次第で戦わずに済ませられるのは2種族のみ。味方に成り得るのは樹海連合軍を止めに来たケンタウロスだけで、ダークエルフとは利害関係から休戦にまでは持ち込めるが終盤で巨人族の奇襲に負けてしまい、最終的には巨人族が最後の敵となる。もちろん敵将であるレイドボスも4体おり、巨人族の王だけは最後にオオスへ逃げ込むので取り逃がしてしまうことになる。ちなみにウェストランデも密かにヤマトの掌握を狙っていたので、プレイヤーは最終的に封印も破壊も出来ないトライネル城の処遇を現状維持のまま保留する事となる。
     戦いの流れは大雑把に決まっていて、初めは巨人族vsダークエルフ、ケンタウロスvs樹海軍が同時進行中。プレイヤーは初戦でいずれかと戦い、その間残りは乱戦状態(ここでケンタウロス側と同盟を組める)。その後巨人族とケンタウロスが争うので、その間に樹海軍かダークエルフを殲滅するかケンタウロスに助勢(ダークエルフと交戦しなければ休戦になる)。最後は巨人族がケンタウロス以外を奇襲で殲滅するので、巨人族とプレイヤーが決着をつける形になっている。
     参加枠はフルレイドだがレギオンでも参戦可能。長く交戦状態が続くため複数からの攻撃を避けることや援軍の申請や復帰プレイヤーの再編成が鍵となる、まさに合戦のストーリーは泥沼の戦いでプレイヤー達を苦しめた。

     結果として騎士団と行動していたプレイヤー達はケンタウロスと同盟を組み協力し巨人族と交戦、皇剣軍に所属したプレイヤーはダークエルフと休戦協定を結び樹海軍を撃破し、最後は騎士団に助勢。それぞれ違った報酬を受け取る形となった。(参照:未登場キャラクターその1未定・その他の項目 未登場キャラクターその3)
     廃都オオスとトライネル城の設定はこのコンテンツが初出となり、城と巨人族はそのままなので続編やオオスの実装が待ち望まれたが現在に至るまで続編は作られていない。

    ■『エンドレス・トロル』
     トロル族との戦いをテーマにしたコンテンツ。ユーザーからの評判は恐ろしく悪い。タイトル通りに、トロルと戦うだけの単調な内容を延々と繰り返すことになるからだ。ただでさえ、種族特性で再生能力や様々な耐性を持つトロルは、倒すのに骨が折れる相手だというのに……。
     このコンテンツの制作担当者が、インタビューなどで「繰り返される戦いがテーマ」だの、「同じようなイベントシーンの連続に見えても、音声や映像には一切使い回しはありません。細部にこだわって作りこんだので、その違いを楽しんで欲しい」だのと、何かエンターテインメントというものを勘違いしたようなことを自慢気に語っていたこともユーザーの怒りを煽った。
     また、トロル族の美少女ヒロインなるトンチキな存在も登場し、ストーリーに添えなくてもいいような花を添える。「トロルの美少女ヒロイン」などという設定の時点で、どのあたりを狙っているのかさっぱりな誰得仕様な上に、キャラクター造型も当時流行のツンデレ系ワガママお嬢様路線を狙ったつもりで大外しした感じのただ鬱陶しいだけのキャラだったりと、ユーザーに媚びを売っているのか喧嘩を売っているのか、全体的に何が何やらな惨状。
     これで得られる報酬も悪ければ、誰も手を出さないコンテンツと化して忘れ去られるだけだが、困ったことに報酬だけは割といいものが得られるため、犠牲者が続出することとなった。

    ■『征海帝国の亡霊』
    子孫にとり憑いて支配し、再び世界征服を試みる古代帝国の亡霊軍団を、その支配する船団や遺跡を攻略することで撃破していくコンテンツ。
    古代帝国によって奪われたり歪められた、元植民地の島々の文物を復活させて新しいアイテムや補給地を得ていくクエストでもある。

    ◆2010年 拡張パック7〈炎の贈り物〉
     秘伝書システム導入、戦闘外行動の大規模見直し、メール機能実装

    ■『火吹き山の魔獣使い』
    〈炎の贈り物〉を「中期の名作拡張パック」と呼ばれるまでにしたコンテンツ(の、最初のもの)である。
     ナインテイル伯爵家の血を引く九名家の一家、わがオイター家は近年オークの襲撃に悩まされている。
     オーク自体もさることながら、近年ユーフ火山を中心としてオークの部族数部族が、魔獣使いを指導者として結束したのも不安材料だ。どうやら彼らは善の人間種族に大攻勢を加えるつもりらしい。
     どうか、ヤマトの英雄よ。〈冒険者〉よ。君達の支援を望むーー
     オーク討伐をすすめるうちに、〈冒険者〉はウェストランデ皇王朝時代、さらにはそれ以前の時代まで遡るかもしれない遺跡群を発見する。
     印象的なグラフィックスが〈エルダー・テイル〉世界の古代の神秘を想像させ、「戦闘のスリルだけでなく、世界観に奥行きを与えた」という(やや過大な)評価で賛辞を与えられることになった。ここからオーク討伐へむけて〈冒険者〉がナインテイル全土のダンジョンに繰り出すことになった。

     ところで全く蛇足だがオーク族の居留地にはいくつもの隠し湯が存在しており、2010年当時はこの隠し湯を全て探しあてて入ると獲得できる秘密の番号で、由布院温泉への招待チケットを抽選でプレゼント、などという企画をやっていた。〈炎の贈り物〉ってのは温泉の招待状のことかよ、というツッコミを入れたくなるかもしれないが、当時F.O.E.も新規ユーザーの獲得に頭をひねっており、Webラジオとタイアップした〈外観再決定ポーション〉つきキャンペーンのようなわけのわからんものと違ってこちらは楽しく遊べるのであるから、ご容赦いただきたいものである。

    ■『永劫氷河軍の襲撃』
     北方からエッゾ帝国を襲撃する巨人族、氷の魔獣、氷の〈邪術士〉(ウォーロック)etcの混成軍との防衛戦争(大規模戦闘)をメインとしたコンテンツである。
     今回の拡張パックがいろいろ日本サーバ固有の趣味に走っていたので、アタルヴァ社から「秘伝書の出る大規模戦闘とかさあ、戦闘外行動をもっと重視したりさあ、あとメール機能を活用したコンテンツも、入れて欲しいんだけどね。全世界的にそうすることになってるし」と言われて慌てて実装した…ということは無い筈だ。いちおう準備を整えて公開したコンテンツだし(そんな噂が出るくらい「偶像の支配者」とか担当者がハジけたコンテンツが多かったということであるが)
     ヒューマンの皇帝アル=ラーディルの宮廷についての詳細が明らかにされたのもこの頃である。ヨシモトの「男前ランキング」でランクインしたお笑いタレントが声をあてたジェンス=デュバルはこのコンテンツで初登場している。
    (参照:NPC/日本/ススキノ/01のジェンス=デュバルの項目)
     このコンテンツの特徴は、とにかく大規模戦闘である。もちろん秘伝書もドロップする。あと大規模戦闘の合間の戦闘外の特技使用で、敵の行動やエッゾ帝国軍のとれる戦術や戦略の幅が変わってきたりする。また、この戦闘ではプレイヤーはエッゾ帝国軍を協同で防衛戦を実施し、帝国軍の装備からエッゾの機械帝国としての側面をつぶさに見ることもできるようになっている。

    ■『偶像の支配者』
     以前のコンテンツに登場した女性NPCの中からユーザー人気の高かった10人を選出し、彼女たちの魅力や背景を掘り下げる10のストーリーを実装したコンテンツ。
     自称硬派ゲーマーなコア層からは「ヲタに媚びるな」「エルテを汚すな」などとバッシングも起きたが、現代日本において“萌え”は強力な要素であり、多くの二次創作需要を生むなど好評を博した。また同アップデートで実装された「NPCに手紙を送れる」機能との連動で、テンプレではあるものの手紙の返事が返ってくると言う仕様もあり、熱狂的なファングループを生み出すほどの盛り上がりを見せた。
     コンテンツ内容は、「〈灰姫城〉の真の姿にして〈自由都市同盟〉の切り札である人型決戦巨大城塞兵器〈超魔導城神キングマイハマン〉を起動させ、ラスボス(詳細未定)との戦いに勝利すること」である。
     「〈キングマイハマン〉の起動および操縦には、〈偶像の支配者〉としての資格および適性を有する魔導の巫女(ヒロイン役の女性NPC)と、その巫女たちに力を貸し与える勇者(冒険者)たちが必要である」という、ご都合主義的な背景設定のもとに、プレイヤーとヒロインたちは来たるべき最終決戦に向けて様々なクエストをこなしつつそれっぽいドラマを展開していくことになる。
     〈キングマイハマン〉に搭乗しての戦闘は、頭部や手足など各パーツにヒロインと冒険者パーティが分担して乗り込み、各部の操縦や武装の使用、スキルを使った戦闘支援などを分担する形式での変則的な大規模戦闘形式で行われる。
     しかし、想定外の人気に調子に乗ったか、あるいはトチ狂った制作サイドが、「新規ユーザー層の開拓」という一見もっともらしいお題目を掲げて、後続のパッチで腐女子受けを狙ったイケメンNPCを追加した……まではいいのだが、初期の女性NPCから4人をリストラしたため、当然のように「追加するのはいいが何故削った」と盛大なバッシングが起こり、関連スレッドは大荒れ、公式ブログは炎上、署名運動が起きる騒動に発展し、それなりに好評だったコンテンツを台無しにした責任者はアバシリ研修に送られたと言う。
    「どんな判断だ」(大荒れしたパッチの制作者に対するアタルヴァ社幹部のコメント)
     中期にはそうした炎上騒ぎもあって人気に翳りが出たものの、スタッフを一新した後、新規拡張パックの追加に合わせて新ヒロインや新シナリオの追加などのアップデートが行われ続け、その後は海外でも著名な日本サーバー独自の長期人気コンテンツとなった。
    (※関連:キャラクターファイル:NPC/日本/ナカスのリチュアの項目、キャラクターファイル:NPC/日本/不定のテオドール、ティアリス、レヴィネラの項目)

    ■『魔導王の継承者』
     以前から作中設定レベルでは各所に登場していた魔導王アグサミューラと太古の魔導王国の伝説をメインテーマにしたコンテンツ。
     シナリオを進めるうちに、魔導王アグサミューラが実は女王であることが判明。死して魂のみの存在となり永遠の時を彷徨うアグサミューラ女王が実際にプレイヤーの前に登場し、ヒロイン的なポジションでストーリーに大きく関わる。さらに、『魔導王の継承者』を攻略し終えることで、同時期の新コンテンツ『偶像の支配者』に13人目の隠しヒロインとしてアグサミューラ女王が登場するという怒涛の展開に、多くのユーザーがハートを射ち抜かれ、「ババァ結婚してくれ!」(見た目は妙齢の美女だが大昔の人物なのでババア扱いになった)と叫びだし、「アグにゃんブーム」(ユーザー間の愛称)を巻き起こしたという、いろいろな意味で伝説のコンテンツ。
     コンテンツ内容そのものの方も、魔導王国の遺産という形で多種多様な魔法のアイテムを入手できるという、いわゆる“美味しい”コンテンツとなっている。
     もっとも、入手できるアイテムは、今拡張パックで実験的に実装されたランダムアイテム生成プログラムによるものなので、必ずしも使える性能のものが入手できるとは限らない。運に左右されることになる。
     アイテムの性能だけでなく名称もランダムで決定されるため、時に珍妙なネーミングのアイテムが出てくることもある。制作サイドの意図したものではなかったが、一部のプレイヤー間で「ヘンな名前のアイテム自慢」がちょっとした流行となった。
     この思わぬブームに気を良くした制作スタッフの一人が、後続のパッチでアイテム名の候補に自分の名前を追加し、制作者の名前がついた強力なアイテムが生成されるようにした。これがユーザーからリスペクトされている人気クリエイターのものならまだちょっとしたジョーク的な隠し要素で済んだのだが、大した実績も無いのにインタビューで上から目線で見下すような発言をしたり、ユーザーの質問や要望にとんちんかんな回答ばかりするなどで顰蹙を買っている自称人気クリエイター様のものだったので、「コイツの名前のついた刀が“国宝”とかふざけんな!」などと激しく炎上。責任を追及されたその自称人気クリエイター様はアバシリ研修に送られたと言う。
     そうした様々な珍事こそあったものの、コンテンツそのものは様々なアイテムを入手できることから現在でも根強くにした、魔術師でもある領主コローモからの依頼から始まるフルレイドコンテンツ。そのエンディングが衝撃的であった。この地方は古代からの魔道文明の遺産も多く、そのため工業的にウェストランデの中でもっとも先進的(復古的、と呼ぶ方が適切?)な地域であった。その領主であるコローモは、最近ある古代伝承に興味を示している。好評。
      
     ミカワ地方とトヨタを舞台
    「かつてこの地方では今ではバラバラに作業している無数の魔導師と技師を、体系的集中的に運用し、現代では不可能なマジックアイテムやアーティファクトを生産していたという伝説がある。
     その巨大システムは、ちょうど合奏団の指揮者のように魔術師を指揮する『魔導王』によって成り立っていたという。最近私はそのような魔導の術者になる手掛かりを追っていたのだが…
    …いや、誤解しないで欲しい。私は権力や魔力が欲しいのではない。確かにそうしたものも得られるだろうが…私が望んでいるのは私の治めるこの地の民の幸福、そしてウェストランデの、いやヤマトの全ての人々が受けるであろう恩恵のために、『魔導王』の知識と力を求めているのだ」以上のような(後からすれば白々しい)台詞での依頼が始まりとなり、『魔導王』となるために必要な四大元素の精気力と月の精気力の制御を可能にする素材とキーアイテムの獲得のために付近のダンジョン、フィールドでの集団戦闘を行うこととなる。途中、月の精気力を得る儀式書の写本を得るために訪ねた〈昇月梯団〉(ムーンライズ・オーダー)の神官からは「正しく用いれば良いが、一つ間違えれば月の守護力の混乱によって邪悪の力を招き入れることになるだろう…そんな儀式魔術で大丈夫か?」と疑問の言葉を投げかけられる。ここで「大丈夫だ。問題ない」と言わないとコンテンツを先に進めることはできないのだが、後で起こる出来事の伏線になっている。全ての素材とキーアイテムが揃うといよいよ コローモが魔導王となるための儀式魔術を実行されることになるのだが、このコンテンツの本当の設定が明らかにされるのはそこからである。
     全条件を揃えたプレイヤー達はコローモから「儀式の一環としてツクヨミ像を壊しに行って欲しい。それが儀式の始まりになるから」と言われ〈妖精の
    輪〉(フェアリー・リング)を通って移動し実行するとあたりから不吉な風が吹き、〈昇月梯団〉の神官があらわれて「なんということをしてしまったのだ。これは善き魔術の儀式ではなく邪悪の儀式ではないか」と真相が明らかに(もっと早く説明してくれれば良かったのに)されるのである。…コローモの目的は人々を幸せにするために『魔導王』となることではなく不死の大魔導師(アーク・リッチ)となることだったのだ。 プレイヤーの最後の戦いはコローモの元へ引き返しての戦いとなる。〈妖精の輪〉(フェアリー・リング)を通って引き返そうにも月の守護力の異常とやらで機能せず、途中の経路で出現するモンスター達をできるだけ手早く時間内に処理して不死化儀式の途中のコローモを倒す戦いである。(もし時間内に到達できない場合彼は〈イズモ騎士団〉によって討伐されることになっていた。その場合プレイヤー達はドロップアイテムを手に入れることはできなかっただろう)   このレイドコンテンツは達成条件が難しく一年くらいの間解かれることは無かったのだが、その達成に立ちあったプレイヤー達はあまりの真相に唖然としたという。このコンテンツが解かれた後、コローモは不死魔導師(リッチ)として(アークがとれてただのリッチ、最後の冒険者の活躍により本来の意図より少しだけ弱まったということらしい)〈不死王〉を名乗ってトヨタを死の街に変えて君臨し、以降トヨタはダンジョン化したコンテンツとなる。ハーフガイアの世界観的にも、ウェストランデとキョウの都がこの事態を重く見て、地方貴族の権限を縮小し内裏から代官を派遣して補佐/監視の任にあてようという動きに繋ったそうであるが、多くのプレイヤーにはそういう裏設定はどうでも良かったりする。


    ◆2012年 拡張パック8 〈永遠のリンドレッド〉 上限レベル80
     シブヤ追加

    ■『夜鴉は哭く』
     「諜報」をテーマにした、変わり種の並行連続クエスト型レイドコンテンツ。プレイヤーは対立するいくつかの国家間の情報戦を担い、各国家の依頼を受けたり受けなかったりすることで情報を集め、結果だけは完全に決まっている国家紛争の中で色んな場所、色んな勢力に味方したり敵対したりするという内容。
     戦闘が極端に少なく、実質上あっち行ったりこっち行ったりのお使いを繰り返すことにはなるが、プレイヤーの立ち回りとランダム性によって表示されるメッセージのバリエーションが異常に多く、またそのメッセージから紛争の背景を読み取り推察できるというのが「売り」である。
     またそれによってクエスト内で与えられるリソースの価値が激変するため、それを見切って売り抜けるなどして利益を得ることもできる(むしろ、クエスト報酬自体があまり魅力的ではない上に立ち回り次第で依頼主の首が先に飛んで報酬がなくなったりするのでその利益の方が主な報酬である)。そのためハイエンド気質のプレイヤーには「ロクなメリット無いから糞。でも楽しさで言えばアリ」と愛憎渦巻く評価を得ているようだ。
     

    ■『仄暗き御簾の奥より』
     過去のヤマト(皇王朝時代)の歴史を主題にしたコンテンツ。
     東西南北のプレイヤータウンに対応するように、ヤマトの東西南北にダンジョンが配置された。いずれも「皇王朝に深い恨みを抱いて死んだことで怨霊神と化したかつての英雄」の存在をテーマにしている。
     四柱の怨霊神は「神」とつくだけあって「ヤマト最強の存在」という設定がなされている。コンテンツの攻略において、この恐ろしくも強大な神々と戦って勝つ必要はなく、戦いを避ける構造になってはいる。
     しかし、強大な敵が居れば戦って倒したくなるのがゲーマーのサガというもので、戦いを挑むプレイヤーも続出した。もちろん、神々は設定だけでなく実際のゲームデータも「最強」に相応しい強さを持ち、プレイヤーの無謀かつ不敬な挑戦はことごとく退けられた。その結果、レベル上限が現状から引き上げられるなどの外的要因無しには打倒不可能ではないかと言われた。その強さから、ユーザーからは「東のラスボス」といった俗称で知られている。
     東:英雄陵/東の英雄神
     西:魔皇殿/西の魔皇子
     南:火雷天神宮/南の雷公
     北:未定/北の○○
    (参照:世界設定ヤマト編のダンジョンの項目 及び 未登場キャラクターその3:四柱の怨霊神)

    ■『神託の天塔』
    『天塔に挑む者は多い。しかし、帰ってくる者は少ない。極めて帰ってきた者は――三つの試練を抜けて天人に会って帰ってきた者は、いまだかつていない』(天塔にまつわる言い伝え)
     雲を貫き空に溶け込むかのように建っている巨大な太古の建造物である〈天塔〉を舞台にしたコンテンツ。「天を貫くほどに巨大な塔」というセッティングでの超巨大ダンジョンで、無数の階層を突破して頂上に到達することが目的となる。
     多少ながらアクション要素もあり、足場を踏み外すと落下ダメージを受けて下の階層へと戻される。落下距離によっては、高レベル冒険者でも即死するので、移動時には注意が必要となる。そうした足場の不安定な場所では、〈ダンサー〉〈軽業師〉といったサブクラスが有効であるとされる。 巨大な〈天塔〉の中では、階層ごとに独自の小世界が形成されており、人間も住んでいる。特殊な文化や価値観を持つ人々が、街や集落を形成している階層もある(たとえば、塔の外に世界があることを知らない、塔の中が世界の全てだと思っている人々など)。そうした階層は、様々なイベントやクエストが発生する舞台となるほか、通常の街と同様の施設もあり、中継拠点として利用できる。

     また、塔内にも〈妖精の輪〉が存在する。ただしその仕様は特殊で、「一度その地点に到達することで登録され、利用可能となる」「移動先は時間帯変動のランダムワープではなく、塔内で到達済みの〈妖精の輪〉の中から移動先を指定できる」というもので、これにより一度到達した階層は比較的自由に行き来ができるようになる。(〈天塔〉の特殊な仕様に合わせた攻略補助用の仕様) 世界共通レギオンレイドコンテンツであり、日本人では攻略不可能とまで言われていた。そこを突破してみせたのがクラスティである。アインス率いる<ホネスティ>との共同戦線が突破の糸口になったと言われている。
    ■『リンドレッド大神殿』
     拡張パック〈永遠のリンドレッド〉の目玉コンテンツである超巨大ダンジョン。失われた“魔槍”と“聖杯”の伝説に関連したコンテンツで、前提クエストとなるダンジョン『カーマインフロスト神殿』を攻略し〈イクサビトの試練〉を達成することで挑戦が可能になる。
     大雑把な分類としては、地上と地下の2エリアに分かれる。地上部分はさらに「塔」「神殿」「礼拝堂」の3エリアに分けられる。さらに全てのエリアを攻略した先には、最終決戦の舞台となる「神殿中枢エリア」が存在する。それぞれのエリアごとに出現モンスターのレベル帯や攻略難易度の違いがあり、段階的に攻略していくことを想定されている。 
     難易度的には、「(簡単)← 塔<<神殿<<礼拝堂<<地下<<中枢 →(難しい)」の順。前提クエストの『カーマインフロスト神殿』込みで、低レベルから開始可能で攻略を終える頃には一人前になれる構造。
     ただし、エリアの全てが綺麗に難易度分けされてはいない。たとえば神殿のガーディアン・ゴーレム〈模造神性〉や、数多く存在するボス敵のうちダンジョン内を移動する設定のものは、遭遇可能性があるエリアのレベル帯を超えた強さを持っており、そうした規格外の敵への対処も求められる。

     また、ストーリー的な背景として、「神殿の秘密を求めて、様々な勢力が攻略に挑んでいる」という設定がなされており、ダンジョン内で遭遇する存在の全てがプレイヤーと敵対するわけでもない。非プレイヤー勢力同士で潰し合いをすることもあるし、協力的な関係を結ぶこともできる。こうしたゲームの進行に合わせて変化していく状況にどう対応するかで、攻略の難易度やストーリーが大きく変化する。
     コンテンツの内容を全て楽しむなら、1つのパーティで順番に隅々まで回ることもできる。効率を求め、なおかつ、複数のパーティを組める規模のギルドならば、レベル帯ごとにパーティ分けをして各エリアを分担して、情報やイベントアイテムを共有しながら進めていく形式も可能と、攻略の自由度が高い作りになっている。
    (※関連:キャラクターファイル:NPC/日本/不定のテオドール、ティアリス、レヴィネラの項目)

    ■『永劫の灯火(ともしび)』
    生物の絶滅と進化を引き起こす「生命の灯火」(永劫の炎、不滅の炎)を巡るレイドクエスト。
     突如として沖合に現れた謎の島の調査からこのクエストは始まる。

    謎の島には、これまで見たこともないような生態系が広がっており、一つの島を調べ終わるとすぐに次の島が現れた。
     次々と現れる謎の島に残されていたのは、現人類以前の古代人達の、それも複数の古代文明がそれぞれ結成した調査隊の残した記録だった。
    それによると、謎の島は古代の〈セルデリア〉に存在した島が〈セルデリア〉自体が持つ記憶から再生されたものであり、その出現は、生物に進化を促す力の塊である「生命の灯火」が現れる前兆であった。
    「生命の灯火」は数千年の間、何者も立ち入れない異空間で力を蓄え続けながら、生命の情報を収集し続ける。そして力を蓄え終わると、「大反転」という〈セルデリア〉の地形の書き換え現象を起こす。
    「大反転」が起きるとそれまでの海は陸に、陸は海へと変わり、環境の激変で生物の大半は絶滅し、「灯火」に認められた本当に強靱な生命だけが生き残る。
    そして、「大反転」で一度力を使い果たした「灯火」はまた数千年の間眠りに付き、また力を蓄え終わりふたたび「大反転」を起こすときになると、それまでの各「大反転」ごとに蓄えた情報を確認するために、生物史と文明の一種のミニチュアとして島々を作成するのだ。
    また本来なら、このときに島々で出来た道を辿っていち早く「灯火」に辿り着いた高等生物は「灯火」に認められ、「大反転」後も生き残ることが出来るという仕組みが存在する。
     しかし、調査を続けるPCたちは、「灯火」がこの数万年、クエストのボス「反転海魔」によって独占されており、その仕組みが実質的に機能していないことを知る。
    己の種族の存続には、自己という一個体だけがあればいいとしたボスは、自身の種族や共存していた種族を裏切り、「灯火」の力を一部吸収して自身を強化。「灯火」に辿り着いた自分以外の生物を虐殺して、次の「大反転」まで生き延びる力を得た。
    そして、「灯火」が力を蓄え終わる直前に、過剰な刺激を与えることによって本来より早く「大反転」を起こし、それによって自身の生存を確保し続けてきたのだ。
     真実を知ったPCたちは、これまでボスに敗れてきた無数の文明が残した知識やアイテムの力でボスを撃破。「灯火」も亜空間に追放する。
     ボスは撃破された後も、なお存命しており、ふたたびPCたちに襲いかかろうとする。
    しかし頼っていた「灯火」の力が消滅したため、それは敵わず、それどころか「灯火」に引きずられてしまったため、ボスは亜空間を永久にさまようことになったのだった。
    ボスは反転海魔タイタン・クラウン。巨大クラーケンなので船上で戦うことになる。
    ・変形案
     ラスボスは炎の魔神 最終的に「灯火」の力を無くして、台風というそれまで操ってきた自然現象に巻き込まれて滅びる。
    元ネタはスクウェア・エニックスのRPG「クロノ・クロスの「凍てついた炎」アトラス「真女神転生 STRENGE JOURNY」など

    ◆2014年 拡張パック9〈サンドリヨンの遺産〉
     翻訳システムの稼働、AIアイテムの追加

    ■『南海の巫女』
     このレイドコンテンツは、アタルヴァ社からの課題コンテンツの一つであるとも言われている。課題コンテンツだというのは、「AIアイテムの追加」といった拡張パックの機能拡張や第11番目の拡張パックの「魂と禁断の秘術」といったアタルヴァ社が提示するテーマにそったコンテンツのように見えるというものだ。(運営は「これが課題コンテンツだ」等とは公式には言明しないため課題コンテンツというのはユーザー側の想像の話である)
     このコンテンツの課題の機能というのは翻訳システムであると思われている。南の島(沖縄県に相当する)での冒険と戦闘を扱ったコンテンツであるが、金髪碧眼の巫女を始めとする幾人かの登場キャラと一部モンスターの主言語が日本語ではなく英語や中国語、ポルトガル語などの別言語で設定されていたためである。この時点での翻訳機能はかなりバグがあり声質も違和感を感じさせるもので「重要なヒントを聞き逃さないようにするためには、言語設定を日本語以外の設定にして原文で聞いた方が良い」などと2014年当時は言われた(2018年現在では翻訳品質が改善したことにより日本語設定でプレイしても支障は無い)。
     アタルヴァ社とF.O.Eはこのコンテンツで翻訳システムのバグ出しを行い、相当日本語と他言語間の翻訳のノウハウを蓄積したのではないかとも想像されている。
     コンテンツの内容的には巫女からのお願いによって古代の遺跡が残る島々を巡り、海賊集団や悪の亜人族(オーク族とサファギン族が主体となっている)、古代の秘密を狙う悪の秘密結社と戦い退けるというもの。捻りの無いものである。捻りは無いのだが、南の海、亜熱帯の海を感じさせるレイドコンテンツは比較的希少なので、現在でもそこそこ挑戦者は多い。

    ■『パイパーズ・リザレクション』
     ストーリー的には『リンドレッド大神殿』の続編かつ外伝的な立ち位置となるコンテンツ。タイトル通り、『リンドレッド大神殿』に登場したネームドエネミー〈パイドパイパー〉がストーリーのメインを務める。『リンドレッド大神殿』では、数多く存在する中ボス格の敵の1体でしかなかったが、その個性的かつ強烈なキャラクターが一部のユーザー層にハデ受けたことから、今拡張パックでの抜擢となった。
     この展開に合わせてコンテンツの舞台として、現実世界での山梨県に相当する場所に、彼が支配する都市〈パイドパイパーリア〉が追加された。
     「世界の全てを嘲笑する悪意に満ちた道化師」といった〈パイドパイパー〉のキャラクターに沿ったいやらしい仕掛けが満載のコンテンツ。メタな視点からエルダーテイル世界そのものをパロディ化した内容も多い。良くも悪くも個性的かつ先鋭的過ぎる内容で、悪趣味と評する向きもあり(その悪趣味さは意図的なものではあるのだが)、評価は分かれる。
    (※関連:未登場キャラクター3のパイドパイパーの項目)

    ■『死霊が原(ハデスズブレス)』
     死霊の王は精霊山の地下エネルギーを盗み取り、その力を持って永遠の生を手に入れようとしていた。
     〈冒険者〉は地下墳墓の奥深く、生命の秘密を邪悪に歪めるための魔法装置の祭壇で、死霊王の四人の騎士との激しくて長い戦いをすることになる。
     精霊山を守る〈翼持つ者たちの王〉(シームルグ)が共闘するストーリーであり、このハイエンドコンテンツの報酬(友情の証)としてグリフォンを召喚する笛を入手することができる。

    ■『奇跡の箱』
     今回の拡張パックではサンドリヨン(=シンデレラ)に関わるコンテンツが各サーバーで追加された。(たとえばシンデレラを連想させるようなNPCを登場させるとか…)ヤマトすなわち日本サーバ管理区域では、それはマイハマの都での冒険行ということになった。このコンテンツに挑戦したプレイヤーはAIアイテムの登場にも驚きまた楽しむことになった。
     このコンテンツの内容は「喋る箱がコーウェン家の古い倉から出てきて、そのへんを歩きまわる」といういささか説明しがたい始まり方をするのだが、箱のユーモラスなキャラクタ(?)が印象的で「磁石のように他の生物やアイテムをひっつけてひきずりまわす」という光景も、かなり変なのだが、演出の妙というべきか笑えるシーンとなっており、導入として珍奇ではあるが引きこまれるものとなっている。 プレイヤーは「箱が迷惑なのでどうにかして欲しい」(大意、そりゃそうだ)という依頼を受けて冒険を開始する。箱を追いかけたり説得を試みたり罠にはめようと行動パターンを調べたりするうちに、箱の最初の持ち主であった初代コーウェン家の孫娘であった女性と「灰姫城」の秘話に立ちいってくることになる。そのへんから事態は急展開し箱の力を盗もうとする(「取り戻す」と主張しているが)かつてウェストランデの征夷大将軍と争った竜人ラダマンテュスの末裔の陰謀が徐々にプレイヤーの前に明らかになってきて、否応なしにマイハマの都を脅かす軍団との戦闘に突入することになる。

     このコンテンツでは前回の拡張パックで登場した『仄暗き御簾の奥より』のように、ヤマトの過去の姿…絶頂期にあったウェストランデの権勢とキョウから見ればド田舎であったマイハマとイースタル…について触れており、ネットの一部では「あたま悪いストーリーにしては〈エルダー・テイル〉の歴史の奥深さを感じさせてくれる、なんというか言うべき言葉の見つからない素敵コンテンツ」という褒めているか貶しているかわからない評価がされている。敵ボスのドロップアイテムにけっこう高性能なAIつき幻想級アイテムが無かったらもっと評価が低かったかもしれない。

     ここで登場する「無限の店製コルヌコピア」(店売り級以下のアイテムをMPやHPまたはその両方を消費して製作してくれる。要はお金のかわりにMPやHPでダンジョンの中でもアイテム購入できる喋る箱)が幻想級アイテムとしては日本初出なのだが、次の〈夢幻の心臓〉に登場したソード・オブ・ペインブラックの方が初期の(そして、今に至までの)幻想級アイテムの代表として語られることが多く、忘れ去られているといってもよい。黒剣と違って華が無いからであろう。アイザックこそ幻想級アイテムの最初の獲得者とい う見られ方をしているといっても過言ではない。

     別案:この時点でのAIアイテムは後の位置付けでは俗に「劣化AI」と呼ばれる等級のもので、あまり気の利いた会話をかわせるものではなかった。〈夢幻の心臓〉拡張パック適用にともなうNPCのAIの大幅改訂によって新AIを搭載した幻想級AIが登場すると、秘宝級の“馬鹿な”“旧版”AIでしかないこのコンテンツのAIはそのぶん見劣りすることになってしまった。そのため〈錬金術師の孤独〉でコンテンツの大幅書き換えが行われており、新たな報酬の存在がコンテンツ中で示唆されている。これはつまり幻想級のAIアイテムが報酬として加わったことを意味すると言われている…が、まだそれを手にしたものはない。

    ■『マイハマ地下遺跡』
     『奇跡の箱』の分岐クエストに位置付けられている。
     このレイドコンテンツではサンドリヨン(=シンデレラ)をモチーフにした同拡張パックの目玉モンスターの1つが登場した。上記クエストと同じく日本サーバーでの舞台はマイハマ。ただし、マイハマの都ではなく新たに追加された古代遺跡を模したダンジョンが冒険の舞台だった。
     『奇跡の箱』のクエスト以後、マイハマに伝わるおとぎ話、「おもちゃの王国」についての情報が度々登場するようになる。喋るおもちゃや勝手に動く遊戯施設の話はどことなく胡散臭さを感じさせるものではある。しかし、それら噂話に登場するキーワードを元に人物や場所を辿っていくと、動くおもちゃと動かないおもちゃを発見することになる。その後初代コーウェン家の孫娘と再び会話することで、「灰姫城」の秘話についての新たな一節を聞くことができ、「巻けないぜんまい」を渡される。会話終了後に「ひとりでに動くおもちゃ」に巻けないぜんまいを渡すと、彼の手によって「動かないおもちゃ」も動き始める。2つのおもちゃに導かれて辿りつくことになるのは<マイハマ地下遺跡>――
     出現モンスターは無機物をモチーフにしたものが多い。地下遺跡内では遊戯を模した機械仕掛けの罠が数多く張り巡らされており、独特な雰囲気を<冒険者>に印象付ける。
     最終フロアにたどり着くとそこでは異様な遊具を目撃することになる。周辺施設を狂わせた呪いに蝕まれ制御のきかなくなったレイド級モンスター、その名は、<マッドカルーセルゴーレム>Lv.82。その正体はゴーレムとして改造された古代の遊戯施設(メリーゴーランド)。設置されたテレポーターを転移しながら行われる攻撃は挑戦者を大いに悩ませるものである。レベル80がプレイヤーレベルの上限だった当時、ダンジョン最奥部に佇むその容姿と巨躯、そしてレベルは多くの<冒険者>の度肝を抜いた。
     なお、報酬とは別に、このレイドコンテンツでは小規模メリーゴーランドがレアドロップとして入手できる。女性メンバー(サンドリヨン(=シンデレラ))のためにこれをギルドホールに設置するという茶目っ気を出したギルマスがいたとかいなかったとか……

    ■『七つの不思議のそのさきに』
    「世界の七不思議」と「オイディプス王」を元にしたレイドクエスト。
     「世界すべての謎を管理し陳列する」ことを理念とする謎の組織〈ミュージアム〉と戦いながら、「世界の七不思議」にもとづくダンジョンを巡って、その背後にある伝説の存在「最も賢き王」の生涯をたどり、人を神に変える力を持つという最終ダンジョンへたどり着く。

    ■『熱砂のカジノ』
     突如として世界各地に現れた謎の蜃気楼。それは、〈妖精の輪〉と全く異なった転移ゲートだった。
    蜃気楼のゲートを抜けて、北米サーバの砂漠にあるカジノダンジョンの主、ギャンブルマスターに挑戦するクエスト。
    リドル、トラップ、そしてダンジョン自体のモチーフがすべてギャンブルであり、大抵のことはお金かギャンブルに勝つことで対処出来る。
    ギャンブルの難易度はさまざまであり、レベルや装備がしっかりしていればラクにこなせるものも多いが、かといって、うかつに挑戦すると、処理出来ない量のモンスターに襲われたり、反射的に答えるしかない制限時間で連発される数学の難問に回答しなければならなくなるので、難易度の見極めと情報収集(それもお金かギャンブルで得られる)が重要である。
    道中では、このクエスト限定のモンスターから買い物も出来るが、それもいちいちギャンブル形式となっており、うかつに欲を出すと一文無しどころか、借金のために金策に走るハメになる。


    ◆2015年 拡張パック10〈夢幻の心臓〉 上限レベル90
     NPCのAIの大幅改訂、楽器演奏、歌唱パッチ、フィールドレイドモンスターの大量配置

    ■『新皇の帰還祭』
     『仄暗き御簾の奥より』の続編に位置するコンテンツ。今拡張パックによる上限レベルの引き上げに合わせて、東西南北ラスボスのダンジョンも追加・拡張・データの強化がなされた。(つまり、「レベル上限が引き上げられれば倒せるようになるのかも」という、過去のユーザーの期待や予想は引っくり返されたことになる。この件については、ユーザー間で賛否両論ある模様)
     また、ストーリー的にも、公の歴史から抹殺された歴史の真実、ヤマトの黒歴史により一層迫る内容となっている。
     設定から読み取れるように、四柱の怨霊神は、必ずしも邪悪な存在というわけではない。怨霊神が敵と見做される根拠は、皇王朝(および、皇王朝の後継であることを大義名分として掲げる現在のヤマトの支配者階級)の視点から見て、彼らが反逆者であったり罪人であるというだけのことである。そうした皇王朝史観から離れて考えれば、むしろヤマトの人々のために尽くした英雄であるとすら言える。
     こうした背景設定に合わせて、ゲーム上でも、ただ単純に打倒されるだめだけに存在する邪悪な敵という立ち位置としては設定されていない。それゆえに、「ヤマト最強」という設定がなされ、プレイヤーに倒されることを想定していないかのような圧倒的強さを与えられた存在となっているようだ。
     〈大災害〉後の世界においては、強大な力を持つ怨霊神の存在はヤマトの動向を左右する要素になる……かもしれないし、ならないかもしれない。(というシナリオフック)
     このコンテンツに関連したレイドコンテンツは同拡張パック以後も追加されている。それら大規模戦闘においては、「新皇の」を冠する幻想級アイテムが報酬となっている。関連レイドコンテンツ、『新皇の武具』で得られる報酬は3つ。は内2つ<D.D.D>、1つは<西風の旅団>が獲得した。当時新興勢力だった<西風の旅団>が日本サーバー全域に名を轟かせるきっかけとなった。なお、呪い吸収効果を始めとした多数の特殊効果を持つ幻想級アイテム<新皇の武者鎧>の所持者はソウジロウ=セタ。

    ■『ヘイロースの九大監獄』
     その名の通り9つもの監獄(ダンジョン)を攻略する大型コンテンツ。開始時点では8つの監獄に挑戦可能で、その全てを攻略すると、9つめの最後の監獄が出現し挑戦可能になる、という仕組みになっている。
     8つの監獄の攻略順はプレイヤーが自由に選ぶことができる。複数の監獄同士でイベントやフラグが複雑に連動しており、攻略順によって難易度も大きく変動する。
     このコンテンツも今拡張パックのテーマのひとつである「特殊なフィールドでの冒険」を提供するものとなっている。「あるものを封印するために作られた魔法の監獄」という舞台設定から、監獄内ではエリアごとに一定の行動が禁止される制限(回復魔法使用不可、火属性を持つ全ての効果が無効…など)が存在する。一定の条件を満たすことでそれらの制限を解除することができるため、いかに素早くその方法を探り実行するかが鍵となる。
     しかし、場所によっては制限を解除できる仕組みが罠となる場面も登場する。監獄の制限は、そのエリアにいる全 てのキャラクターが対象となる――つまりプレイヤーだけではなくモンスターにも適用されている。その結果、モンスターが制限によって使用不能になっていた強力な攻撃手段を使い始める、ということも起きる。そこで「解除」と「封印」の使い分けが要求される、という形にゲーム性が変化する。
     それぞれの制限の内容に合わせて、パーティ構成・装備・スキルのセッティングや戦術の構築が必要となり、ある種の制限プレイ的な攻略が求められるテクニカルなコンテンツ。自らをマゾと称するようなやり込み派のゲーマーに特に好評だった。彼らの間では、監獄の制限を意図的にプレイヤー側に不利になるように操作して攻略するプレイスタイルや、よりマゾい条件での攻略法の研究が流行った。
     中でも〈放蕩者の茶会〉が公開した攻略・解析サイトは、彼らの伝説のひとつ。コンテンツ内容を丸裸にするほどのデータ量と、詳細な分析・考察もさることながら、それらを前提とした多種多様なやりこみプレイ、タイムアタック、制限攻略の記録達成、およびそのノウハウの完全公開が時の話題となった。「このサイトの記述通りにやれば誰でも同じことができます」との触れ込みだが、「できるわけねえだろ!」という内容ばかりが淡々と当たり前のように記述されている超上級者向け過ぎて役に立たない攻略サイトだったという。そもそも、ただ攻略するだけなら、自分から制限を増やして不利にするメリットはまるで無い。全くの愚行だが、愚行だからこそ燦然と輝く前人未到の伝説となった。
     このコンテンツのキーアイテムにヤマトの幾つかのクエストや街の噂、書籍などに名前の登場する賢者ミラルレイク(名前だけで本人は登場しない。ミラルレイクの賢者が冒険者の前に姿をあらわすのは大災害の後シロエへとの会見が最初のことになる)が作った「とこしえの闇の鍵」があることを、シロエは記憶していた。

    メモ:〈炎の監獄〉〈氷の監獄〉〈森の監獄〉〈海の監獄〉

    # 導入クエスト『朽ちた勲』
     『ヘイロースの九大監獄』導入にあたるフルレイドコンテンツ。エッゾ帝国で裏切りにより倒れた古来種〈死戦士ルグリウス〉が怨霊と成って復活し、大地人を攫い怨霊を呼び寄せているので、ルグリウスから大地人を救うために地下墓地(カタコンベ)で対決する。生者が傍にいればルグリウスの怨念が強化されHPやステータスが向上するので、フルレイドであたらず1パーティのみルグリウスの対処にあたらせ、残りのメンバーは戦闘範囲から外れながら50人以上いる大地人を非難させる必要がある。

    ※一なる監獄〈空の監獄〉
     天空に浮かぶ監獄。足場を踏み外すと落下ダメージで転落死する仕様になっている。敵もノックバック(吹き飛ばし)攻撃を使ってくるなど相当えぐい。実は他の監獄を先に攻略してキーアイテムを入手しイベントを進めると攻略が楽になる仕様になっている。律儀に番号順に挑むと心を折られること請け合いの罠ダンジョン。

    ※一なる監獄〈空の監獄〉
    天地が逆転している監獄。室内にも関わらず、偽りの青空が広がっている。この監獄の”床”の裏側は生物を吸い付ける特殊な石で出来ており、〈冒険者〉たちはその石を動かしたり運んだりすることで足下にある”天空”へと降りていくことになる。
    監獄の床が吸い付けるのは生物だけなので、蘇生が遅れた仲間の体は頭上へと”落下”してしまうのがこの監獄最大の特徴である。
    また、跳躍系の特技も一部使用が制限される。

    ※七なる監獄〈騎士の監獄〉
     騎士が住まう荘厳な城のような外観の監獄。回復職の魔法が禁止となる「光の封印」と、魔法攻撃職の魔法が禁止となる「闇の封印」が施されており、初期状態では魔法が使えない。「騎士らしく剣で戦え」と言わんばかりの仕様。
     ボス敵は〈七なる監獄のルセアート〉(書籍版1巻P90、4巻P353)。Lv.95のレイド級モンスター。物理攻撃を得意とする前衛型の騎士っぽい敵。光の封印を解除し回復職の魔法を使えるようにすると、ルセアートも白騎士モードの封印が解除され回復魔法を使いだす。同様に、闇の封印を解除すると攻撃魔法を使う黒騎士モードの封印が解除される。両方を解除した場合は、物理と魔法の双方を使い大暴れする最強状態となり一気に強化される。予備知識無しで挑んだ場合、魔法禁止を嫌って両方の封印を解除して最狂モードのボスに瞬殺される流れがお約束の初見殺し仕様。

    ※二なる監獄〈雷の監獄〉
    鉄板と鉄格子で出来た鋼鉄の監獄。ダンジョンの中だというのに、常に闇の空から雷が落ちており、鉄格子の天井を動かして通路を作らないとたちまちのうちに雷の餌食となる。
    雷の発生源である〈雷宝玉〉を破壊すれば雷はやむが、そうなると今度は、それまで雷で弱っていた影系やゴーレム系のモンスターが全力で襲いかかってくるようになってしまう。
    ※三なる監獄〈月酸海の獄〉
    室内なのに、強酸で出来た海が広がり、魔法による幻の月が浮かぶダンジョン。
    酸に溶けない浮島による足場作りと、各所にあるスイッチで幻の月の月齢を変化させ、酸の海の満ち干を操作するのが攻略のコツなアクションゲーム的ダンジョンである。
    ダンジョン内は常に酸の大気で満たされており、装備の耐久値がどんどん減るため注意が必要。
    脱出には、八隅にあるスイッチを同時に押さえるなどの困難な仕掛けを攻略する必要がある、

    ※四なる監獄〈黄金の監獄〉
     切り立った崖に聳える六つの柱と外壁に囲まれた監獄。外観は地味で収監されているモンスター達も全て鎖に繋がれたままで進むだけなら拍子抜けするほど簡単だが、別階層への移動手段がなくそのままだと先へ進めない。このダンジョンにおける制限「吝嗇者の復讐」はアイテム入手と使用の禁止であり、破った場合は対象アイテムの「初期設定の市場価格」に応じてモンスターのレベルが引き上がっていく。
     内部のモンスターからのドロップアイテムや入手できるアイテムは軒並み「値段が高い」アイテムであり、おまけに先へ進むためには各階層の看守の眼鏡に適う高額レアアイテムを上納しなければならない。つまり懐を痛めたくなければダンジョン内部でレアアイテムを狩っていく必要があり、逆に他所から高額アイテムを持ってくればダンジョンの難易度をある程度抑制したまま先へ進める仕様となっている。勿論看守達の求めるアイテムの金額や等級は並外れて高いので、苦労して別の監獄から持ってくるよりは中で探した方が早いが攻略難易度は増していく。潜れば潜るほどダンジョンの内観は趣味の悪い金満主義な装丁になっていくのがご愛嬌。
     ボスモンスターは嫌らしい事にダンジョン内で入手したアイテムの総額が高ければ高いほど攻撃力偏重型になり扱う魔法が凶悪になっていき、逆に低ければ耐久力重視型になりHPが増していく。
     ちなみに一度ダンジョンから出てしまえばダンジョンの難易度はまた初期設定へ戻るので、アイテムを狩るだけ狩ってストックしておき、最後に挑戦する時にまとめて看守へ上納していけば難易度を下げたまま攻略が可能。逆に敵を全滅させてレベルマックスでボス戦に挑む無謀なプレイヤー達も居た。

    ※五なる監獄 〈鎖犬の獄〉
     中央に巨大なケルベロスが繋がれた犬小屋とでもいうべき牢獄。
    突入直後に、即左に走らないとケルベロスの攻撃でパーティ全員即死してしまうなど、アクションゲーム的要素が強いダンジョンである。
    ケルベロスは不死身であり、強大な破壊力を誇っているので、各所にある装置で鎖を巻き取ることで攻撃を回避しながら進んでいくのがこのダンジョンの攻略法となる。
    ダンジョンには、無数のトラップが存在し、もちろんケルベロス以外のモンスターも多く存在する。
    隠されている魔法のハープを使えばケルベロスを眠らせることは出来るが、その場合ケルベロスを橋代わりにしないと通れない場所が通行不能となる。
    元ネタはルース・スタイルス・ガネット「エルマーのぼうけん」で飛行機代わりに酷使されていたりゅうなど。

    ※六なる監獄 〈魔厨房の獄〉
    畑や川などの「食材エリア」と城の中にある「厨房エリア」の二つのゾーンに分かれているダンジョン。
     食材エリアの各地を巡らないと厨房エリアには入れないが、食材エリアでは侵入者を食材にするべく釣り針付きの宝箱やトラバサミなど各種の罠が待ち受けており、厨房エリアも台所にちなんだ罠だらけである。
    ボスである牛魔神に勝つと秘宝級の殺人包丁がもらえるがイマイチ使えない。
    元ネタは福永令三「クレヨン王国水色の魔界」とギリシャ神話の地獄

    補欠案
    〈花園の獄〉 毒花が咲き乱れる花園のダンジョン
     内部での昼夜の切り替わりが異様に早く、時間帯によって咲く花が変わる。
     動くと毒のまわりが早くなるため、夜を待って薬効のある花が生えている地帯で回復して進むのが基本。
     しかし、夜でも食人植物などがあるため決して安全とはいえない。
     食人植物の誘導によるザコの排除や橋の作成などが不可欠であるため、 〈エルダーテイル〉の多様な植物に対する知識がなければ、このダンジョンを攻略するのは不可能だろう。
     入ってすぐ走り回ると、たとえ回復職がメンバーの大半を占めるレイドギルドであったとしても、瞬く間に毒で全滅し てしまう、 これもまた初見殺しのダンジョンである。

    ■『ラダマンテュスの王座』
     永遠に春であり「もはや死に苦しめられることの無い」〈英雄界〉は、ヤマトの英雄が死後に赴く場所とされている。(勿論ここに来る〈冒険者〉はなく〈古来種〉と〈大地人〉に限る)
     この地の王であるラダマンテュスは「竜の玉座」から治めているが、七年に一度、ラダマンテュスは「自らがこの玉座にふさわしいと思う、我以上の英雄はおるか。もし英雄王の地位を我と競うものがあれば試練を受けよ。そして我に挑戦せよ」とその玉座から呼びかける。
     これまでの挑戦の呼びかけでは、過去に死んだヤマトの英雄たちは“試練”によって自らが英雄にふさわしいことを証明したが「真の勇者は、玉座に座する喜びよりも全界の諸守護者とその働きへの賛意と感謝をとるものだと私は思います。ラダマンテュス王よ、死せる英雄とまだ生ある英雄の両者のために、貴方の王座が永久に揺らぐことありませぬように」などと言って玉座を襲うことはなかった。
     しかし今回の挑戦は違った。竜の玉座を狙ってこれまでのコンテンツで登場し倒されて死んだヤマトの“悪の英雄”や、新たにこのコンテンツで登場したまだ存命の悪の強者らが竜の玉座へ挑戦すると叫んで〈英雄界〉に現れたのだった。卑劣なことに彼らは「挑戦の掟」に「一対一で挑戦しなければならない」と明記されてないことをいいことに、各々が手勢を引きつれてやってきたのだった。プレイヤーたちは悪の勢力に〈英雄界〉を奪われることの無いように、竜の玉座への挑戦権を持つただ一人(組)の英雄の地位を実力で勝ち取らねばならない。
     …と、以上のような背景を持つフルレイドコンテンツである。
    「〈英雄界〉の各地で七人の悪の英雄達を排除(大規模戦闘)しながら、彼らより先に十の試練を成功させる」というコンテンツであるが、一応成功に見えてもその後で大規模戦闘を仕掛けられて敗走すると失敗扱いになって再度挑戦だったり別の試練を受けなければならなかったりする試練もあったりなかなか試練のコンプリートは難しい。
     また、このコンテンツの特殊フィールド〈英雄界〉には魂を保存する力があるとされ、(〈冥府〉とは逆に)復活が楽なフィールドとされている。ここでの死亡は大神殿への移送と経験値ロスを伴わない。そのかわり経験値を一切失なわない様々な復活条件が用意されている。
     例えば「朝の光とともに復活」という復活条件がある。これは指定時間になると何もしなくてもHPもMPも満タン状態、経験値を一切失なうことなく復活できるというものである。大神殿に戻る必要も無い。他に「納骨して箱に収めて祈ると復活」「複数人で故人を祀る儀式を行うと復活」といった復活条件があり、いずれも同様の条件で復活できる。〈エルダー・テイル〉がゲームであった時代から〈大地人〉を復活できるフィールドとして知られていた。(実際には025でのリ=ガンの説明にもあるように死の直後かつ頑強な大地人であれば〈蘇生魔術〉は可能だが、〈大災害〉前には知られていなかった)
     以上のような特殊復活ルールの適用により復活が楽になる筈が、場合によっては余計面倒だったりする。例えば「朝の光とともに復活」では2時間に一度のゲーム内の夜明けを待つ必要がある。また「納骨して箱に収めて祈ると復活」では仲間の死体を焼いた上で骨を足・腹・胸・手の順序で箱に収め、最後に収める頭と顔の部分は顎や頭骨を識別して入れ方に注意して入れなければならず、失敗すると骨があたりに散らばってやり直し、というものである。「複数人で故人を祀る儀式を行うと復活」に到っては死亡証明書、棺、花束、肖像画、経文、乳香、没薬、食料アイテム、etcなどといったアイテムを準備して隊列を組んで行進したり順序に従って使用するかなりややこしい手順であり、〈放蕩者の茶会〉くらいしかまともに解析して実行したグループはいなかった。(そして本格的解析は低人数ではかなり面倒だったので、先陣争いに敗北することになった)
     日本サーバでこのコンテンツを制したのはアイザックである。アイザックが幻想級アイテム、ソード・オブ・ペインブラックを世界でも最も早く手に入れた。その名声が彼と彼のプレイグループを名門戦闘ギルド〈黒剣騎士団〉へ進化させていくことになった。
     また、024でリ=ガンとシロエの会話に出てきた『竜の玉座事件』もこのコンテンツのことを指す〈大地人〉の間での呼称であると推定される。

    ■『トゥオネラの白鳥』
     今拡張パックで追加された特殊フィールド〈冥府〉での冒険をメインテーマにしたコンテンツ。ストーリー的には、『リンドレッド大神殿』に登場したキーアイテム〈魔槍トゥオネラ〉について掘り下げる内容で、連動し相互補完し合う関係にある。
     死の国である〈冥府〉では、特殊ルールとして全ての蘇生効果が無効となり、キャラクターが死亡した場合にその場で復活させることができず、強制的に神殿に戻されての復活となる。そのため、HPが尽きることは即座にゲームからの脱落を意味する(神殿に戻された後で、もう一度〈冥府〉まで戻ってくることはできるとしても、その戦闘には間に合わないだろう)。死亡復活を前提とした戦術が使用不能となり、脱落者を出さない立ち回りが要求される。
     また、回復魔法全般の効果にも〈冥府〉効果による弱体化修正が加わる。そのため、回復職の性能に頼った力押しの攻略が不可能であり、より厳しいHP管理やリソースコントロールを要求される。
     「魔槍トゥオネラの秘密とその行方」「赤き影の女王の試練」「冥府の王にして邪神トゥオニ」「死の河の伝説」「冥府に赴いて最愛の人を蘇らせようとした男の話」「死者の国の住人となった者を救いだす禁断の秘宝黄金の杯」など、ひときわ神話的ファンタジー色の濃いエピソードが揃い、冥府の強力なモンスターを相手に歯応えある冒険が楽しめる。
     実装当初は不人気コンテンツだった。〈冥府〉の特殊仕様による攻略難度の高さと、同時期に実装された〈ラダマンテュスの玉座〉でアイザックが世界初の幻想級アイテム発見の偉業を達成したことから、二匹目の泥鰌狙いのユーザーがそちらに殺到したことがその原因。
     後にこのコンテンツでも幻想級アイテムを発見したプレイヤーが現れたことで、「難易度は高いが、相応の見返りを得られるコンテンツ」という評価に落ち着いた。
    (※関連:未登場キャラクター1の赤き影の女王の項目、未登場キャラクター3の冥府の王トゥオニの項目)

    ■『荊の城の眠り姫』
    『これは、昔々の大昔、とある国のお話。その国は、生い繁る草木、色とりどりの花々に囲まれた、とても美しい花の王国でした。その美しい国の中でも、最も美しいのが、若くして亡くなられた王妃の忘れ形見であるひとりの姫君でした。人々は、偉大な王様と優しく美しい姫君を戴いて、平和な暮らしを送っていました。
    ですが、それは長くは続きませんでした。悪い魔法使いが姫君の美しさに一目惚れをし、自分の妻に欲しがったのです。魔法使いは言いました。「王よ、姫を我が妻に迎えたい。大人しく差し出せば良し。さもなくば、国中の草花を枯らして、この花の王国をたちまち砂の王国に変えてみせよう」
    もちろん王様はそんな脅しには屈しません。国中の勇者を集めて、魔法使いを討つよう命じたのです。勇者たちは果敢に戦いましたが、しかし魔法使いの邪悪な魔力は想像を絶する強さで、皆、返り討ちに遭ってしまいました。
    これに怒った魔法使いは、言葉通り国中の草花を枯らすと、手下の悪竜に命じて城を焼き払いました。こうなれば力づくで我がものにせんと姫に迫ります。
    「お前の国も民も皆滅びた。もはやここには私とお前しか居ない。お前は私の妻になるしかないのだ」
    一夜にして全てを失い、悲しみの涙に暮れる姫は、それでも力強く言いました。
    「力で国を滅ぼすことはできても、私の心はあなたのものにはなりません」
    それから、魔法使いがどれほど脅そうとも、贈り物で気を惹こうとしても、心変わりの魔法をかけても、姫が心を開くことはありませんでした。それでも魔法使いは諦めません。
    「ならば姫よ、お前に呪いをかけよう。私の妻になると誓うまで、永遠に眠り続けるのだ」
    こうして、呪いの荊で覆われた城で、姫君はただひとり、千年の時を越えて今も眠り続けているのでした』
    (“荊の城の眠り姫”の伝承)
     吟遊詩人が語る上記の伝承をモチーフにしたコンテンツ。前半部は、呪われた荊の城の捜索と城内の探索で、ここまでは従来通りのダンジョンハック、および街やフィールドでの情報収集やイベント進行でしかない。
     このコンテンツの真のテーマは「夢の世界での冒険」である。城内最奥部にいる“眠り姫”と接触することで発生する、夢の世界へ入る方法を見つけ出す前提クエストを終えたところで、冒険の舞台は夢の世界へと変わる。最終的には、邪悪な魔法使いを打倒し、千年の悪夢に囚われた眠り姫を救い出すことが目的となる。
     「夢の世界」というのはただの設定や演出ではなく、『トゥオネラの白鳥』の舞台となる冥府のような特殊フィールドとして、ゲーム的な要素に組み込まれている。
     基本的には、この世界を作り出しているラスボスの魔法使いの操作や妨害によって、プレイヤーに不利な状況を強いられることとなる。しかし、この夢の世界は眠り姫が見ている夢でもあるため、眠り姫の心にアクセスすることで、プレイヤーに有利な状況へと変えていくこともできる。そうしたゲーム的な駆け引きを含めて展開される、夢の世界での一風変わった冒険が売りのコンテンツであり、また「通常とは違う特殊なフィールドでの冒険」という今拡張パックのテーマのひとつに沿ったコンテンツでもある。

    ◆2016年 拡張パック11〈錬金術師の孤独〉
     争奪アイテム追加、生産アイテム追加
    ■『黒き竜のための鎮魂歌』
     太古の時代、海から帰還してヤマトを破壊し尽くしたという黒いドラゴンの足跡を追う。日本サーバ限定の連続クエスト。
     さんざん話が出るわりには、結局黒いドラゴンは登場しないが、もしかしたら既に帰ってきているのではないかという話もある。
    #1 「汚泥の魔」
    美しい浜辺で知られるナインテイルのミナマタ村にて、無茶な建設作業によって封印された魔物と戦うクエスト。
    魔物は、太古の昔には黒き竜の力を借りなければ倒すことが出来ないほど強大な存在だったとされるが、事前に村民をまとめる活動に協力し、埋もれた石碑などに残る言い伝えを復活させていればその力を弱体化させることが出来る。
    最大限まで弱体化させるともはやレイド級モンスターではなくなってしまう(通称:フロ掃除)が、どのみちロクなものを落とさないため基本的に問題ない。
    魔物を倒すことで、最後の石碑が発見され、魔物が人間が自然を汚染したことによって現れ、それから永い年月にわたる努力によって水質を保っていたことが判明する。
    (そのことについて、それだけ永い時間努力していたのなら、もっとしっかりと記録を残しておけよというツッコミがあるが、どうもあまりに永い時間当たり前になっていたことだったため、かえって記録がおろそかになり、結果として太古に念入りに刻まれた記録しか残らなかったらしい)

    ■『竜街飛翔』(別名案・腹ぺこドラゴン)
    NPC“放浪の冒険家”の連続クエストの最終クエストであり、
    彼の放浪が終着する話。
    そのため、連続クエストを受けていないと受けられない。
     全てを飲み込みながら進み続ける巨大なヘビ〈大食竜〉から街を守る依頼を受けるところから、このクエストは始まる。
    〈大食竜〉は山に匹敵するサイズと、強靱な肉体、いくら倒しても復活する不死身の生命力を持ち、これまでいくつもの村や町を飲み込んできた伝説の存在であり、これまでその進行を阻めたものは誰も居なかった。
     多くの地域を股にかけて商売をしている、著名な大商人から依頼を受けたPC達は〈大食竜〉と戦うが、止めを刺したはずが、道案内に同行した冒険家とともに突然動き出した〈竜〉に呑まれてしまう。
    PC達はその内部に街を発見。そこでその正体を知る。
    〈竜〉は古代の魔法文明の民が、自分達を進化させるために作った魔法生物であり、進みながら大地のエネルギーを吸収して、最後には星の世界まで飛翔する姿に成長を遂げるように製作されたものであった。
    そして魔法文明の民は〈竜〉の内部に街を作り、〈竜〉と共に飛翔することで、より優れた存在に進化することを計画していた。
    しかし、本来なら確実に飛翔出来るほどの時間が過ぎ、数多くの土地を喰らい尽くしたにも関わらず、〈竜〉は現代に至るまで全く飛翔することは出来ていなかった。
    そして、内部の人々には、なんら対処方法が見つからないまま、〈竜〉自体の寿命が来る日が迫っていたのだ。
     そんな状況の中、〈竜〉の内部の街に回収されたPC達は、脱出手段の知識と引き替えに、〈竜〉を飛翔させる手段を探すという呪いの契約を結ぶハメになる。
    そして、PC達は自分達にかけられた呪いを解き、不死身の〈竜〉の被害から街を救うために、放浪の冒険家は、自分も竜の飛翔に付いていくために、竜の羽化に適した土地を探して各地を巡ることになる。
    しかし、どんな聖地も辺境の土地も、既に〈竜〉が通過していたことが分かり、PC達はいったん手がかりを失う。
     そこで、ヒマをもてましたPC達は、田舎に呼び戻された冒険家についていって、彼が大地主の家から、息子を心配する頑固な親父を置いて家出していたことを知ったり、〈竜〉の内部のダンジョンで手がかりを探す途中で、〈竜〉の中に住む人々も全員が〈竜〉の飛翔に付き合いたいわけではないことを知る。
    当初得るものが無いと思われた、そうした「寄り道」によって、かつて冒険家が捨てた田舎が〈竜〉の故郷であり、同時に、その大地のエネルギーこそが唯一〈竜〉の羽化に適していたことが判明し、PC達は、そこで〈竜〉の羽化が完遂されるまでそれを見守ることになり、そこで〈竜〉を巡る最後の決戦を迎える。
    そうして起きるラストバトルでは、クエストのはじまりである〈竜〉撃退の依頼をしてきた大商人が、〈竜〉が蓄積した力を狙う邪術士であることが判明。ラスボスとして立ちはだかる。
    自分のパトロンとなり、自由で可能性に満ちた未来を保証してくれるはずだった大商人の裏切りに冒険家が動揺するなか、PC達は〈竜〉を無事に飛ばせるために邪術士と戦うことになる。
    戦いの後、〈竜〉の街の人々の一部は〈竜〉を降りて普通の〈大地人〉として生きることを選び、抱いていた予想や期待がことごとく外れた冒険家は、田舎に留まってこれからの生き方について改めて考え直すことにするのだった。
    そして、飛翔する〈竜〉を見送ったPC達は、〈竜〉と邪術士が残した様々なお宝を持って〈竜〉が羽化した街を去りゆくのだった。

    元ネタ
    TRPG「ガープス・ルナル」の〈龍〉および 絵本「はらぺこあおむし」
    RPG「聖剣伝説LEGEND OF MANA」など

    ■『人造天使計画』
     タイトルが示す通り、古の時代に行われた『人造天使計画』を主題にしたコンテンツ。太古の時代、人類種族の守護者として(あるいは時の権力者が自身の支配を絶対的なものにするための力として、あるいは魔道士や技術者が己の研究を極める目的で)、七つの美徳を司る七大天使を模したゴーレム〈人造天使〉の建造が行われた。しかし、当時暗躍していた〈六傾姫〉の密かな介入によって計画は歪められ、実際に完成したものは七つの大罪を司る七大魔王の力を宿した邪悪な存在であった。
     ……単純に言ってしまえば、上記のような背景設定を持つ7体のネームドエネミーを倒して固有のレアアイテムをゲットするコンテンツである。実際に少なくない数のプレイヤーはそう認識している。
     しかし、そんな単純なコンテンツではないだろうという意見も、同様に根強く存在する。材料としては、「拡張パックの目玉となるコンテンツがそんな程度のものではないだろう」というこれまでのエルダーテイルの実績や運営会社への信頼であったり、あるいは、7体の〈人造天使〉がただの強いボス敵にしては妙に凝った固有の背景設定を持っていることであったり、クエストを進めていく過程で明らかになる『人造天使計画』の設定や情報、過去の歴史といったゲーム内要素である。
    (例えば、「本来は七つの美徳を司る善なる存在になるはずであった」という設定や、『人造天使計画』が犯した禁忌として密かに語られる『七聖女の悲劇』――その魂を〈人造天使〉の生体制御装置に使われ、計画の犠牲となった7人の少女の伝承など)
     また、〈人造天使〉の戦利品として七つの大罪をモチーフとした様々なアイテム(主に武器や防具などの装備品)を入手できるのだが、その中で最もレアなものは「世界でたった1つしか存在しないアイテム(厳密には各サーバーごとに1つ)」設定になっていること。その上、その唯一品には今拡張パックで追加された新要素「争奪アイテム」属性がついているという噂まである。こうした特殊過ぎる設定には、何らかの意図や隠された要素があるのではないかと想像するには充分な材料だろう。
     しかし、新しい年代のコンテンツであること、高難度のハイエンドコンテンツであることなどの要因から、攻略や解析は現時点でも完了してはおらず、そのまま〈大災害〉の日を迎えてしまった。
    (参照:未登場キャラクターその3の七徳/七罪の人造天使の項目)

    建造はアルヴ系王国滅亡から〈六傾姫〉による人類社会への大規模の報復が始まる一時的な平和な期間のことだった(そして協力を強要したアルヴの姫のサボタージュにあった)のだが、〈六傾姫〉やアルヴの魔女姫のことがこのレイドコンテンツ中で触れられたことはない。
    なので、自分で攻略本を書く程に調べあげるシロエでも、〈六傾姫〉がこの事件の背後にいたことは知りようがなく、リ=ガンに教えてもらうまでは〈六傾姫〉という呼び名すら聞いたことは無かった。
    シロエの友人の一人、クロスが挑戦し見事"当たり"アイテムを引きあてたことがある。

    ■『穢れた魂を救うもの』
    『人造天使計画』と一部設定を共有した大型クエスト。
    「かつて繁栄を極めた古の時代、禁じられた技術により二つに分かたれた魂の旅路――」
    曰くつきの品と引き取った腕輪(の欠片)から現れる、どこか頼りない幽霊?の導きに従い幾つものアルヴの古代遺跡を巡るコンテンツ。
    次第に幽霊の正体が古の時代に禁じられた技術で造られた存在であること、対になる存在として「全てを憎悪するもの」が存在すること等が明らかになり、最後は大型ダンジョンの最奥部で暴走する巨大なゴーレム&「全てを憎悪するもの」と戦うことになる。
    この戦いを経て二つの魂は再び全き一つとなり、プレイヤーの手元には簡素な一つの腕輪が残る、という印象深いクエスト。
    全容こそ明らかにはならないものの、禁じられた技術の使用や、その影に潜んでいた「何者か」についての情報が小出しになっており、設定マニアのユーザーの間で話題になった。
    次回以降の拡張でさらに詳しいストーリーラインが現れるのでは?と期待されていたものの、そのまま《大災害》を迎えてしまっている。
    ゲーム自体の内容としては、オーソドックスなダンジョン踏破&キーアイテム回収が中心となっており、一部廃人から「お使い」との評価もある。一方で情緒あるイベントの演出や、中位の冒険者がパーティで開始し、最終的にレイド編成で挑むのに好適な難易度、突入レベルに比して古代遺跡ゆえのマジックアイテムの実入りの良さ等が新規ユーザーに好評だった。

    ■『歌姫エリザ』
    〈吟遊詩人〉エリザ=ドゥーリットル
    白磁のような肌と長い銀の髪の、まるで芸術作品のような人間離れした美貌と、
    その美貌すらかすんでしまうほどの魂に響くような美声。
    だが彼女には秘密があったーー

     このコンテンツはとある流しの〈大地人〉の〈吟遊詩人〉女性と、彼女に熱をあげるとある男爵家の次男坊との出会いから始まる。
     エリザは彼女が"父"と呼ぶ老錬金術師マルコフ=ワイゼンバウムのことが心配であり、自分のようなどこの血をひくものかわからぬような娘は貴族家の殿方の妻としてふさわしくない、と言っているというのだ。
     〈冒険者〉の勇者様がお願いに来ているのにタダでお返しするのも何だから、と彼女は一曲披露してくれる。驚くべきことに、彼女の技量はたしかに〈大地人〉とは思えぬほどに卓越したものであり、レベルも90に達しており特技も奥伝や秘伝の域に達していそうである。
     歌のあと、私には必要の無いものだけど〈冒険者〉の勇者様ならひょっとしてお役に立てられるかもしれない物があるのでもしよろしければ預けてある街まで一緒に来ていただけますか?とエリザからの提案がある。
     短い旅の間、プレイヤーは彼女の歌声を聴く機会にまた恵まれることとなる。(ところで余談であるが彼女の歌と声は某社の歌うソフトウェアの声とエンジンを組み込んでおり、プレイヤーは限定的なエディタを操作して“リクエスト”した歌を歌ってもらうことが可能であった)それと同時にプレイヤーはマルコフの振舞いがどこか"父"として奇妙なのではないかと気付く機会にも。
     そして旅は本来の目的地に辿る前に終りを告げることとなる。"黒き悪魔の術師"マリシアス=レックハヴォックがエリザを誘拐したのだ。
    「おまえがユーレッドに渡ってエレムス=エメスに教えを乞うた時、約束しただろう?その期限が来たから、代行で回収に来たのだ」
     という謎の言葉とともに。
    「どうか…お願いだ…彼女を…もう二度と…運命が私から引き裂いた…決して二度と離さないと誓ったものを…」
     支離滅裂な言葉を残して心臓発作で意識不明の重体となったマルコフを街の人に託して、〈冒険者〉たちはマリシアス=レックハヴォックの迷宮に挑むこととなる。
    (参照:NPC/日本/不定/01のリディーマの項目、未登場キャラクターその2のエレムス=エメスの項目)

     このコンテンツも「魂」をテーマにしたものであり、制作側の意図が見てとれる。ただ、あまり評判は芳しくない。コンテンツの出来栄えとは無関係な要素もあるのだが、パーティ向け/お使いレベルのコンテンツへの導入のように見せているがフルレイドコンテンツであって少人数だとかなり苦しいとか、エリザが人造人形であり(伏線が色々あってやり込んでいるプレイヤーにはバレてたりするだろうが)、結末の後味が悪いとか。「試験データを回収」して盟友に報告するためにとったマリシアスの鬼畜な蛮行っぷりが酷く気分を害するというのもある。そして今回の悪役のマリシアスが最期のところで「冒険者からの瞬間移動逃走」の〈大地人〉固有魔法を使って逃げてしまい、とどめを刺せない(アイテムドロップもない)というのがカタルシスを感じられないというのも大きい。「今度見つけたら必ず殺す」「マリシアスは泣いて謝っても赦さない」とエリザに共感したプレイヤーの書き込みがエルダー・テイル関連掲示板をにぎわしたこともあった。
     敵ボスのドロップアイテムは無いのだが、このコンテンツで獲得できるアイテムは比較的お手頃というか地味に良いものであり、なかでもエリザの遺品の「鶉(うずら)のリュート」は〈吟遊詩人〉向けのアイテムとして評価の高いものである。

    ■『美姫の紅玉酒』
     “美姫の紅玉酒”とも形容される砂漠のオアシスにある歓楽都市〈チャームミスト〉での冒険をテーマとしたコンテンツ。ふとした偶然から、この街の地下に広大な地下迷宮――より正確には、長い年月の間に砂の中に埋もれてしまった古代の遺跡が発見され、しかもそこは太古の時代の重要な秘密に関わるものらしい……という導入で始まる。要するに超巨大ダンジョンでハック&スラッシュなおなじみの展開である。
     昼と夜とで全く別の顔を持ち、表社会と裏社会の闇が交錯する〈チャームミスト〉が持つ退廃的な雰囲気が、物語の背景に独特の彩りを添えている。
     このコンテンツでは、『リンドレッド大神殿』で実験的に導入され好評を博した「複数の勢力がダンジョンに眠る秘密を狙って独自に攻略を行っており、複雑な利害関係を抱えた勢力同士が抗争している」というセッティングが、今拡張パックで追加された「争奪アイテム」の存在とともにより強化されて導入されている。
     ダンジョン攻略に必要なキーアイテムには、争奪アイテム属性がついており、ダンジョン攻略に挑む複数の勢力の間を、情勢の変化に合わせて行き来する設定になっている。そのため、入手場所やルートが一定ではない。また、プレイヤーがキーアイテムの入手に成功しても、それが奪われてしまう可能性があるということでもある。そのため、安易に敗北すると想定以上の被害を受けることもあり、攻略に新たな駆け引きと緊張感をもたらしている。
     このダンジョンの探索で明かされる太古の時代の秘密もまた、人の魂にまつわる禁断の技術や秘宝であり、今拡張パック全体レベルでテーマの統一やストーリーを連動させようという制作陣の意図が見て取れる。

    ■『死国再臨』
     5つのシナリオからなるレギオンレイドコンテンツ。
    500年前に封印されたアルヴの死霊王『凶皇』との戦いがテーマとなる。

    #1『死霊王の復活』
    フォーランドにあるとある島で新たに発見された遺跡の探索から始まるシナリオ。
    このシナリオだけはフルレイドコンテンツとなっており、クリアしなくても#2に挑むことができた。
    上位のアンデッドが多数配置された古代のアルヴの遺跡を探索する典型的なダンジョンシナリオだが、
    最下層のボス『呪われし死霊騎士ディラン』を撃破すると、この遺跡の秘密が明かされる。
    ディランは言う。

    「この城にはかつて凶皇と呼ばれる古代の死霊王が封印されていたが、封印を破り復活した。
     自分は凶皇の封印を監視する任を背負ったイズモ騎士団の騎士だったが、敗北し、
     呪われて永遠に死ぬことも叶わぬ死霊騎士へと変えられた、時がたてば自分は再び理性を失い
     死霊騎士と化すだろう。その前にこの場を離れよ。この、イズモの聖剣をもって」

    …このディランの剣がかなり性能の良い秘宝級武具であったため、何度も狩られることになったのはご愛嬌。
    ちなみにこのコンテンツは#5の公開と共に公開停止した。

    #2『服部半蔵の野望』
    神聖王国ウェストランデより、緊急で『アイギアでの反乱を鎮圧せよ!』と言う勅命が発令されるところから
    始まるレギオンレイドコンテンツ。冒険者は新たに追加されたダンジョン『忍びの村アイギア』に攻め入り、
    反乱の首謀者である服部半蔵の撃破を目指す。
    このシナリオの専用モンスター〈狐面忍者〉は高火力スキル〈絶命の一閃〉を習得している上に、
    集団リンクのパターンで集中的に攻撃してくるので、油断すると後衛職どころか壁職でも瞬殺されることで
    有名だった。
    このシナリオは#5公開と同時に公開が停止され、代わりに追加ダンジョン『亡霊の村アイギア』が公開された。

    #3『死霊王への挑戦』
    アイギアの反乱を見事鎮圧した君達の元に、1人の古来種が訪れる。
    君達の力を見込んで頼みたいことがあるという。と言う導入から始まるダンジョンシナリオ。
    #2をクリアしていないと受けられない
    冒険者は死霊王に挑む資格を得るために古来種の聖地であるピラミッドへ挑み、
    罠と危険に満ちたイズモ騎士団の試練を乗り越える。
    …依頼しておいて試すのはどうかと思うと言う意見が多々出た。
    #5のクリアと同時に公開停止され、追加ダンジョン『死と罠のピラミッド』が公開された。

    #4『冥女王の秘宝』
    『逃亡』がテーマのシナリオ。#3をクリアしないと挑むことが出来ない。
    冒険者は冥府へと赴き、凶皇の瘴気を跳ね返す『冥女王の魔除け』を盗み出す、と言う内容。
    ここのボスの冥女王は不死身であり、撃破不能。
    冒険者は彼女とその配下である冥府の住人の攻撃を掻い潜り、魔除けを冥府の入り口まで
    持って行かなければならない。壁職のタウントと、逃亡役の腕前が求められるコンテンツ。
    また、このシナリオに置いては『永遠の歌姫』と呼ばれる古来種がゲスト出演していたことでも有名。
    #5クリアと共に公開停止。

    #5『死国再臨』

    全ての準備を終えた冒険者が、ついに凶皇に挑む最終シナリオ。
    #4をとある大規模戦闘ギルドが突破すると同時に公開された。
    舞台は#1のダンジョンがあった島全土。
    上陸直後から無数のアンデッド、悪魔系モンスターと戦いながら凶皇のいる城まで向かい、
    凶皇との最後の戦いを繰り広げる。

    凶皇には超高レベルのレイドモンスターに相応しいステータスと『冒険者を1回死亡させるごとに最大HPの
    1%分HPを回復する』と言う能力があり、『攻撃魔法1発でHPが20%回復した』などといった伝説がある。
    攻略は困難を極め、述べ全滅回数は56回におよび、最終的には日本サーバーの有名な大規模戦闘ギルドが
    軒並み攻略に挑んでいる状態と言う事態をまねいた。
    その後、通算57回目の挑戦でとある大規模戦闘ギルドがついに凶皇の撃破に成功して完全クリアを果たし、
    シナリオは公開が停止された。

    ◆2018年 拡張パック12〈ノウアスフィアの開墾〉  上限レベル100
    実装と同時に大災害が発生、適応されているのが極東地域のみと予想されるなど全容はいまだ謎。
    そもそもこれは本当にゲームなのだろうか?

    ■『インブリウムの空中迷宮』

     空中迷宮はさらにその先にあるとされる<深酒の海>と共に触れられている。詳細は不明。日本サーバーに適応された同拡張パック、更には物語のキーの一つだと推測される。


    ◆その他のクエスト・コンテンツ
    ■青き国への手紙
     幸せの青い鳥を探して旅をするうちに「青い国」とよばれる街を救うことになるクエスト。
    最初は、結婚を待ち望む婚約者を放って青い鳥を探す町の青年を説得(柔らかい表現)するクエストから始まって結局その夢をあきらめさせるために期限付きで青年と探索の旅に出ることになり、そこからかつて青い鳥を追った老人の死を看取ったり、噂を追ってたどり着いた森の中の「薬草」の青い花畑でヒッピーっぽい連中に花の秘密をめぐって殺されかかったり、山岳地帯で年中続く雷による天然の牢獄で閉じ込められそうになるも、なぜか八十年に一度の機会の脱出を諦めた娘の帰郷を見送ったりと色々な出来事に会う連続クエスト。
    最後に、世界征服のための洗脳システム実験の場でしかなかった「青の国」を倒し、その再興を主導するという役割を断った青年を町に連れてかえることでようやくクエストの完結となる。
    ・・・・・・のだが、クエストのエピローグ場面で完全に父親気分となり、妊娠した婚約者の面倒を看る青年とは裏腹に、窓の外を見て何かを探す婚約者の姿が描かれており、このクエストは続きがありそうな雰囲気を漂わせて終わる。

    ■3×3の祭り(フェスティバル・オブ・トライアングル・スリー)
    前進と発展を司る光の偶数神の力を借りて、衰退と破滅を司る闇の奇数神の神殿を攻略し、その御霊を鎮める連続クエスト。
    光の神は三柱(もう一柱”居た”のだがその神はクエストで復活もしくは新生させることになる)しかいないうえに、最初に攻略の助けになるシナリオアイテムをくれるだけなのに対して、闇の神は元々の三柱に加えてその「子」の神が各三体ずつ居て、PCたちを邪魔してくる。
    さらに、闇の「子」の神の兄弟にはどちらかというと善に属する神が(闇の神自体必ずしも悪というわけではないらしいが)各一柱存在しており、各神殿の攻略はその封印されている三善神の解放にある。
    が、その封印というのが実際のところ「他の闇の神に仲間はずれにされて引きこもっている」状態なので、その解放作業はつまるところ、闇の神々相手に「説得」や「遊び」をして引きこもりが外に出られる雰囲気を作る、もしくは、家である神殿の外に興味を持たせることになる。
    しかし、闇の神々は衰退を司るだけあって難儀な相手であり、彼ら相手の「説得」や「遊び」は広大な迷宮からヒントを探さないと答えられない問答や、恐ろしくタフで厄介なモンスターとの戦闘などになる。そのため、クエストの途中で心折れるプレイヤーが続出したという。
    このクエストの主な目的は二つあり、一つめの目的である失われた光の神「慈愛」の復活は全ての闇の神殿を巡ることで自動的に行われるが、二つめの完全性を現す「三つで一組をなすもの」の正体は、クエストを達成した後でもはっきりと明らかにされることはない。光と闇の二勢力の神々に、それらをクエストを通して結びつけるPCたち〈冒険者〉=人間を加えたものこそがその「一組」の正体ではないかということが、クエスト内でPCたちが黄昏や夜明けに例えられることから推測されている。
    ちなみに、闇の神は、ヤンデレの「偏愛」や汚女の「怠惰」など一部の人に好かれているため、光の神より人気が高いようだ。
    光の神 希望・勇気・探求心(慈愛)の仲が良い三(四)神。
    闇の神 激情とその子の憎悪・怒り・悲しみそして喜びの四神、停滞とその子の絶望・怠惰・恐怖と平穏の四神
          強欲とその子の執着・偏愛・過剰そして未だ存在し得ないものやあり得ないものを求める「無求」の四神
         闇の神々は基本的に仲が悪い。

    ■大規模戦闘「夜中の夜明け」
     発生条件が“深夜のみ”、戦闘時間制限が“夜明けまで”という一風変ったレイドコンテンツ。暗いフィールドで5匹のTripod Raven(鳥形ネームド)を討伐する。 鳥形に共通する高い回避力に加え、「N,C,フュージョン」と言う特殊技(激しく発光し、PCの命中率、回避率を大きく下げる。また被弾時に属性無視の魔法ダメージ)を一定時間ごとに使用してくるため戦闘が長期化しやすく、制限時間内に削りきれず失敗することが多い。 また攻撃技として放つ「N,C,ブラスト」は属性無視の範囲魔法ダメージ、しかもTripod Ravenの数が減るごとに威力と範囲が拡大する特性を持ち、戦闘終盤では魔法耐性いかんによってはHP満タンから即死もありうる。ちなみに英語圏でのタイトルは「Midnight Sun」だが、フランス語環境でのみ「Plein Soleil」と呼称が変化している。ローカライズスタッフの茶目っ気によるものらしい。

    ■君の住む街
    「貴方のことが好きです。ボクと付き合ってください!」
    詳細な出現条件は不明だが、男女混合パーティの女性に対して〈大地人〉の少年~青年が街中で話しかけてくるところからはじまるクエスト。〈冒険者〉と〈大地人〉の種族を超えた恋愛イベントにみえるが、この〈大地人〉の男子は不治の病にかかっているため間もなく死んでしまう定めである。特技による治癒・快癒は効果がなく、特殊なアイテムが必要とされる。
    このクエストは単なるイベントではあるのだが、〈大災害〉以降は事情がすこし複雑になってしまっている。

    ■星を征くもの
     空飛ぶ銀の魚、神性モンスター〈礎の竜魚〉(バハムート)を巡る冒険。地の底から現れ水流、気流、地脈、魔力の流れなどあらゆる流動の力に乗って世界を回遊する非実体(別の次元に存在している)の彼らの背に乗って世界を旅するレイド級の長編クエスト。かなり古くからある世界共通クエストなので参加はどのサーバからでも可能。
     バハムートの伝承を追いかけ彼らの背に乗ったが為に戻ってこれなくなった一人の古来種と、バハムートの能力を利用し次元の狭間から自由に世界へ侵攻することを目論む魔人達との戦いがメインだが、クエスト最大の目玉はラスボス戦に特殊ゾーンとして用意されたバハムートの背中と、そこから見える様々に変化していく景色にある。ちなみにバハムートの背中に乗っている間はプレイヤー達もバハムートと同じ別次元におり周囲からの干渉を受けないので、水の中であろうが土の中であろうが真空中であろうが平気。(参照:PC/NPC/世界/全域01のフィザ・サフィ・アルラミヒの項目、未登場キャラクターその3のウルファの項目)
     古来種の協力を得て乗り込めるバハムートの背中はフルレイド、あるいはレギオンであっても十分に参加できるほど広々として、もはや丘か平原と呼んで差し支えのないサイズ。特にバハムートが成層圏を超えた時などは、満天の星空と地平線から昇る太陽が白銀の平野を照らし、その光景はエルダーテイル屈指の名グラフィックと呼ばれている。他にも深海のマリンスノーや海底火山、地中で流動するマグマ、高速で走り抜ける雲海など見るものを飽きさせない手の込んだグラフィックが多数用意されており、ゲーム時代は低スペックのPCユーザー達は折角のシーンなのに処理落ちに悩まされ「グラボ殺しクエスト」「PCのスペックは十分か?」とまで言われ、肝心のクエストでさえ終わるのがもったいないと長引かせる輩まで現れる始末。
     ちなみにイベント中はバハムートの群れが海や空や地面を泳いでいるので参加していなくても白銀の竜魚達の姿だけで十分キレイな光景が見れ、騎乗用モンスターに跨って並走するだけでもかなりテンションが上がる。

    ■夜蝶の喧騒
     クリスマスや星の綺麗な夜などに突発的に現れるスローター(討伐・殲滅系)イベントクエスト。虫系モンスターである〈燐火蝶〉(スパンキーバタフライ)、〈金尾蛾〉(ブライト・モス)、〈光飾蛾〉(イルミネイト・モス)といった発光タイプの蝶や蛾が大量発生し村や町に一挙に押し寄せてくる。時間が経つほど鱗粉によって街に火の手が上がったり光に引き寄せられたモンスターが襲ってきたりと被害が拡大するので、イベント発動を察知して蝶共をさっさと倒しきらなければ夜明けまで徹底的に防衛戦を強いられる。中級者向きとして規格されているので、幸いパーティー級以上の大型モンスターはこのクエストでは登場せず襲撃も散発的。ただしボスモンスターである〈緋衣揚羽蝶〉が出てきた場合は話が別。このボス自体もLv50~70クラスのパーティ級モンスターなのだが群れに紛れてやってくるので識別が困難であり、逃亡あるいは倒せなかった場合はどんどん虫を呼ぶので最悪の場合、戦闘規模がフルレイド級にまで拡大してしまう。もっとも、攻撃が当たればすぐに逃げるので当てさえすれば問題は無い。また、倒せた場合は秘宝級の火炎系素材アイテムが手に入るかなり「おいしい」ボスなのでイの一番のターゲットとされる。
     見た目は綺麗なんだが折角の夜を台無しにされる、と一部には不評であるものの中堅プレイヤーの経験値稼ぎとして非常に効率のよいクエストだったのだが、〈大災害〉以降は夜の時間が長くなってしまったので人手も持久力も取られる冒険者達にとって頭の痛いクエストになってしまった。

    ■夢蛍
     大地人の間で不思議な夢を見るという話をいくつも集めると発生する初心者向けクエスト。イベントが進むのは夕方~夜間。光る草原の夢を見た、目が覚めたら枕元に少女が立っていたなどの証言をした大地人の寝所や窓辺からホタルが飛び去るのを目撃できるのでそれを追跡するとイベント発生。森の奥深くでたくさんのホタルに囲まれている少女の幽霊に出会うことが出来る。森から帰れなくなった少女が夜な夜なホタルを通して家族や知人へメッセージを伝えようとしていたことが分かるので、彼女のホタルを護衛しながら街へ戻り探し人のもとへ届けるとクエスト達成。帰り道にもう一度ホタルに付き添うと追加報酬がもらえる。

    ■夢見る竜の子
    拡張パック〈銀のオデッセイ〉で実装された過去の長編クエスト。NPCである〈小麗竜(リトルドラゴン)〉の子「ハロン」(参照:未登場キャラクターその3)の巣立ちから自立までを見守るというクエスト。空を渡ればその軌跡に虹を残し、数々の財宝と龍脈を統べる栄誉ある「虹の竜」の伝説に憧れた世間知らずのお子様ドラゴンが人里に降りたが、あっさり亜人種に捕まって殺されそうになった所を冒険者が助けた事がきっかけで彼が虹の竜を目指す旅に同行、というよりもお守りをすることになる。
    弱虫、泣き虫、ヘタレ、お子様、人懐っこい、優柔不断でお人好しと絵に描いたようなショタ系ドラゴンで何度も苦労させられるが、芯の強い諦めない性格が幸いし冒険者とともに成長、霊峰フジにて風と水の魔法をまとったまま成層圏まで飛び続ける「空の試練」を乗り越えて念願の虹の竜へクラスチェンジを果たした。
    これ以降「プレイヤーに協力的なNPCのドラゴン」という役回りから日本サーバーのクエストでは幾度となく彼が登場することになる。

    ■猫の王国
     〈猫妖精〉(ケット・シー)の王位交代にまつわる長編クエスト。設定上、野良猫や飼い猫もいるエルダー・テイルの世界では現実同様に「猫の集会」も珍しくない光景だが、町外れの墓場で二本足で立つ猫達が墓の前で黙祷している姿を目撃することでイベントが発生する。気付かれずに彼らの話を盗み聞き出来た場合のみ、猫妖精の王が崩御し新しい王を決めなければならないという事実が確認できる。その後、初心者用簡易クエストである「あたしの猫を探して!」を引き受けると飼い猫が猫妖精であったというイベントが発生し「猫の王国」への分岐条件が満たせるようになる。
     分岐条件を満たせなかった場合は別のクエストが派生してそちらへ移ることになるので、各種イベントの達成や会話の選択肢などを誤らないように注意が必要。この派生イベントの種類が非常に豊富で、フラグによっては猫妖精が殺されたり小説・童話ネタや落語オチになったり化け猫退治になってしまう。ラストで猫妖精が飼い猫に戻るか王になる夢をとるかで迷う素振りを見せた時に主人を思いやるよう諭してやると「幼い少女の為に絆を選んだ。その優しさこそ新しい王の資格に相応しい」となりクエスト達成。間違って王になる夢を選ばせると王にはなれるがクーデターに巻き込まれてしまう。なお、余談だがにゃん太班長をはじめ『ねこまんま』のメンバーは全員ノーヒントで一発でクリアした。

    ■水天の彼方
     空と海、両方の特性を併せ持つ特殊ゾーン「空の最果て」を目指す世界共通の長編クエスト。海上移動手段が増えて近海航路だけでなく他サーバとの行き来が可能になった事から、全サーバ共通でやり応えのある海上イベントを設置する目的で作られた。クエストで一連の情報とイベントを得た後、サーバ管轄から外れるほどの遠洋へ移動すると自動的に各サーバが用意した「空の最果て」に移動できる。
     ドラゴンなども平気で泳ぐこの危険地帯はソロだけでなくパーティーからレイドまで幅広い経験地稼ぎの場所として有名。ただし立体的に移動出来るので360度全方位からモンスターがやって来る。水中での戦闘と同じく、多角的な視野や連携が求められる。ちなみに全サーバ共通で行き来できるよう管理された「空の最果て」もあり、そちらではいろんな国籍の人と出会うことも可能。
     なお、クエスト報酬以外のメリットとしてこの立体移動可能なゾーンにのみ生息する水空両用騎乗生物、激レアモンスター〈蒼穹の魚〉がいるので探し出して召喚獣にすることが可能。ただし迷彩の生態を持っているので発見は困難を極める。

    ■蜘蛛の乞い糸
     「ジョウレンの滝壷」で発生する召喚術師向けのクエスト。滝壷に隠れた〈蜘蛛鬼女〉(アラクネー)のクエストボス『絡新婦』が恋人に先立たれた悲しみを紛らわせようと大地人の男を次々滝に飛び込ませて食っているので、神隠しのクエストを解き明かし獲物に絡みついた彼女の糸を外して滝まで辿りつけばボス戦になる。
     倒すと迷彩と幻惑という相反した用途に使える装備アイテム「金糸の隠れ帯」を入手出来る。ちなみに殺さず無力化させれば〈蜘蛛鬼女〉を召喚獣として使役することが可能になる。長襦袢を着崩した遊女風のおねーさまが欲しいから、と挑戦する男性プレイヤーはとても多い。

    ■寂寞の荒野(英題:the wild solitude ザ・ワイルドソリチュード
     自分を見つめ直し、高める為に孤独に耐えるという内容の、荒れ果てた荒野へ独りで向かうクエスト。開始から終了まで誰の手も借りずに己の武器ひとつで生き残るのがクリア条件。補給も救援も見込めない条件下で山篭りのように延々とレベリングをするだけのクエストなのだが、短期間での成長や高い報酬が見込めるためソロ系のサブ職などには需要が高い。
     題名で分かるように、元は海外のクエストだったのが全サーバーにカスタマイズされたもの。なのでタイトルと違って荒野でなく海や平原、砂漠といった場所が舞台であることもしばしば。

    ■睡蓮の川
     拡張パック〈錬金術師の孤独〉で実装された比較的新しい、死者の弔問と追悼を主題とした悲劇のクエスト。生まれ変わりの信仰がある村里で父の生まれ変わりを産んだとされる親子がメインキャラ。身寄りの無い未亡人が夫の死後に生んだ子供が自分の父親の生まれ変わりだとされ神子として祀り上げられているので、子供を母親の元へ返してやるのが主な内容。ただし母親も自分の父の生まれ変わりを信じているので、息子がそれを否定することで話は暗い方向へ進んでいく。死後、誰かの元へと戻りたいと願う者やもう一度死んだ誰かに会いたいと願う者達の想いと、今を生きることを説く息子の衝突は信仰対象と信仰の派閥争いとして村の対立を深めていくが、実は息子は本当に転生をしており記憶が失われているだけで魂は祖父のものである。
     冒険者達は不死の存在として第三者の立場から彼らと接するので村人のほとんどは敵対者になる。最終的に母親は息子に自分の父の記憶が無いことを嘆き生まれ変わりを信じて自害するが、これを見ても息子は悲しむことはあっても自分の主張を曲げることなく、死者の追悼のみを重んじて村を後にする。・・・息子は知らぬ事だが、皮肉にも残された母親の魂は村里の上流にある睡蓮の咲く川で赤子として転生し、今度は彼女が神子として祀られることになる。
     死んだ者は蘇らない、失ったものは二度と戻らない、前に進むものは死者を過去へと追いやってしまう。過去に囚われ遺された者がそれでも縋る不完全な奇跡の悲しさがテーマ。
     魂と転生の奇跡が主題に関わる為、川に何かあるのではないかと踏むプレイヤーは多いが村人が近づかせてくれないのでゲーム時代はダンジョンや遺跡らしきものはまだ確認されていなかった。神子は代替わりするので定期的に発生する。性別も変わる。
     オマージュは忘却のレテ河、蓮の花から生まれた哪吒太子、輪廻転生と浄土信仰

    ■砂漠の花
     干上がったオアシスにまれに残る石灰の宝石、砂漠の薔薇(デザートローズ)。偶然砂漠で見つけた薔薇が語る、かつてここにあったオアシスの街の昔話に耳を傾けると過去の街へタイムスリップし街を救うために奔走することになる。枯れていくオアシスの水の権利を巡って対立する二つの家はある夜、街を襲った砂嵐と共に住人全員が消失してしまったようで、プレイヤーは時間を遡りながら真相を解き明かしていく。
     住人失踪の真相は、両家の争いを嫌って街を出た一部の住人が別のオアシスで〈悪大霊〉(ジャーン)の集落で問題を起こし故郷へ呪いを受けたことと、街から逃げた名家の娘がキャラバンに扮した〈悪魔霊〉(シャイターン)達に保護され体よく街の内情を聞き出されて襲撃されたことによるもので、どちらか片方だけを解決してもクリアにはならない。また、ジャーンの呪いが残った状態でシャイターン率いる悪魔達と戦うとかなり不利な状況での戦闘になり住人に被害が及ぶようになっている。
     真相を暴きイベントをクリアして現在へ戻っても街は元へは戻っていないが、砂漠の薔薇(正確にはバラに込められた娘の無念)に感謝され報酬がもらえる。裏イベントとして過去の世界でオアシス自体を復活させると、現実でオアシスの水底に無数のデザートローズが咲き報酬の量が倍増する。

    ■ルシフェリン
     落ちこぼれの妖精が望んだ夢の末路を見届けるクエスト。光れない、魔法もろくに使えないといじめられ群れから追い出された〈羽妖精〉(フェアリー)の子供の悩みを聞いてあげた大地人の子供が、友達の為に光るホタルブクロを探してあげようと沼地へ迷い込み、〈彷徨える光〉(ウィル・オ・ウィスプ)の光に誘われ帰ってこなくなる。冒険者は羽妖精の子から友達を探してほしいと懇願され、沼地にて冷たく動かなくなった子供を見つける。
     幸い子供は仮死状態のままなのでしかるべき処置さえとれば蘇生が可能なのだが、イベントにより運悪くモンスターに囲まれ突破して子供を救助するのが難しくなる。パーティー戦で一定時間が過ぎると尾行していた羽妖精の子が隙間を縫うように子供の下へ駆けつけありったけの魔力を使って友達を助けようとするが上手くいかない。そもそも弱い種族である羽妖精の子供が蘇生クラスの魔法を扱おうという方が無理な話なのだが、妖精は諦めず自分の命を燃やしてまで魔力を振り絞り、ホタルブクロに宿っていた光をまとい友達の蘇生に成功するがそのまま光の粒となって消えてしまう。
     村へ子供を返した後に最後のイベントが発生。目を覚ました子供が、話を聞いて集まった妖精たちと一緒に沼地へ行くとそこは一面のホタルブクロが光を放つ美しい花畑になっていた。羽妖精が夢見た光の魔法は、誰もが美しいと感じるその景色に遺されていた。
     タイトルの意味は「発光素」。生物が自らの酵素で起こす生物発光の基質のことである。

    ■『七つの黒炎剣と白霜の宝玉』
    強大な力を持つ「宝玉」によって圧政を敷く領主に対抗するために、レジスタンスの依頼を受けて「黒剣」の欠片を探し集めるクエスト。「黒剣」の欠片は、所有者を倒して手に入れるのが大半だが、怪物化している欠片もある。

    「黒剣」探索中はこのクエストのヒロインであるレジスタンスの女性と一緒に行動することになるが、クエスト中に彼女と親睦を深めると、彼女が実は領主と幼馴染であり、同時に彼に故郷の村を滅ぼされた復讐者であることが判明する。
    最終的には、領主が実は「黒剣」に対抗しようと「宝玉」を持ち出した結果「宝玉」に支配されたに過ぎない善人であることが判明。二つの秘法を使って世界を支配しようとする元依頼主のレジスタンスリーダーと戦うことになる。
    実は善人であったとはいえ、ついさっきまで巨人化してボスをやっていたキャラがラストバトルで味方になったり、最後にヒロインがその元ボスの子どもを(ラストバトル直後に)出産する。
    設定では二つの秘法はそれぞれ「秩序」と「自由」を象徴しており、人間にはその両方が必要だということでこんな話になっているらしいのだが、そんな設定はともかく、このクエストはそのハチャメチャさで有名である。

    ■狸の隠れ里
     深い森(特にフォーランドを中心に)の廃墟で起きるクエスト。亜人種〈森狸族〉の実態がテーマ。
     対亜人戦闘用の改造計画として生まれた〈猫人族〉〈狼牙族〉〈狐尾族〉〈法儀族〉の4種だが、実はもう一種だけ〈狐尾族〉と対になる、獣人の身体を備えた魔法タイプとして開発されたものの気性が戦闘に向かずプロトタイプのみで断念し放棄された〈森狸族〉(しんらぞく)と呼ばれる狸の亜人種が存在する。野に棄てられた彼らは持ち前の自然への適応力を生かしひっそりと、しかし強かに森や廃墟などを拠点に生き延びており、人間達への不信感と悪の亜人種への恐怖から両種族とは距離を置き中立を貫いている。
     彼らは生き延びるために廃墟や廃村などを集落に再利用し幻術で自分たちの生息圏を隠蔽しているが、まれに魔術に敏感な冒険者や大地人は漏れた音や光などを察知することがある。その気配を正確にたどり彼らの住処である廃墟を探し当てるのがこのクエストの開始条件。厄介な事にこの音や気配は頻繁に方向を変え大元の位置を発見し辛くしており、更に発生源に近づくほど小さくなっていく。人海戦術で周辺の地図と音や光の強さの傾向を元に搾り出す必要がある。
     首尾よく集落を発見出来ても考えなしに入れば住人が皆して逃げてしまう。そこで彼らの信用を勝ち取るために周辺のモンスターを掃討し、尚且つ非武装状態でいるとイベントが発生。赤い服を着た小さな子供が廃墟で泣いているので世話をしてあげる事になるが、子供はしきりに廃墟から出たがる。ここで素直に子供を負ぶさって出ると背負った子供が丸太や石に化け別のゾーン(森の中)へ飛ばされる。ちょっと根気強く子供と会話を続けると今度は友達もどこかで迷子になってると言うので一緒に探しに出かける事になる。ここで子供から目を離すとイベント失敗なので片時も目を離さず、尚且つモンスターから守り抜けばようやく子供に化けていた村人が「実は幻で君達を試していた」と明かされ、村に入る事が出来る様になる。
     その後村長から集落で困っている事があると相談されそれを解決するとクエスト成功。依頼内容はランダムだが非常に楽な所謂おまけであり、大抵は悪の亜人種討伐かモンスターの殲滅系(スローター)クエスト。このクエスト成功がイベントスイッチとして換算され、その後〈森狸族〉関連のクエストが受けられるようになる。


    ■ゆりかごに抱かれて
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